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今田 千裕 展 一脈うつ層一|天プラ・セレクションVol.107
蝋染め技法によって防染した道筋に沿って流れる岩絵具の粒子、透過性を持つ布の積層など、自身が取り組んだ表現に対し、様々な角度から光を通した見せ方や、静かな揺らぎの効果、そして来場していただいた方々との対話も含め、天神山文化プラザの広い空間での展示によって多くの知見を深めることができました。 本展覧会での貴重な経験を活かし、今後も多様な染色技法、繊維素材、色材による独自表現を発展させ、テキスタイルの可能性の広がりに繋げていきたいです。 今田 千裕 Exhibition Review 今田は倉敷市に生まれ、岡山県立大学大学院を修了し母校で教鞭を執るようになって数年、生粋の岡山っこで、私からすれば娘世代の彼女は、まだ十分に若く愛らしいのだが、見誤ってはいけない。このたびの個展に向け、入念に準備してきたのだろう、以前よりも密度の濃い作品に仕上がっていた。 今田は、主に薄くて軽やかなシルクオーガンジーに蝋染めし、制作する。蝋が置かれた部分には染料が入らないという特性を活かした染色技法は、中国の遺跡から既に2、3世紀頃にはあったとされ、日本では正倉院宝物にも見


中山 冴子 展 一Calling the Sanctuary一|天プラ・セレクションVol.106
大学卒業後、広島に戻り、幼い頃に見ていた山の近くでアトリエを構えたとき、私の制作テーマの原点が形作られました。子どもの頃、何度も目にしていながらも一度も踏み入れることのなかったその山は、大人になって改めて見ると、恐怖と美しさが同時に存在する別世界のように映りました。その奥深くには、まるで誘い込むような木々が生い茂り、超自然的な気配を感じたのです。この感覚を絵画で表現したいという思いから、私はこのような場所を「聖域(sanctuary)」と呼び、制作を始めました。 その後、宗教美術や宗教画に触れる中で、これらの作品が他者と感覚を共有する力を持っていると気づき、絵画が私の感じた世界を伝える手段になり得ると確信しました。そして今回の個展で、「私もこの世界を思い浮かべます」という言葉を初めていただいたとき、私の絵が目的を果たしたかのように感じました。この体験が、私の制作にさらなる意味を与えてくれたように思います。 中山 冴子 Exhibition Review 中山冴子展の会場を見渡してみると、静寂な美しい空間は、個性的な様式の魅力がそれぞれの作品に醸し


石田 和也 展 一備前磁器の世界一|天プラ・セレクションVol.105
今回の展覧会では、備前市内の鉱山、地下150mで採掘した天然の磁器粘土で制作した作品を展開いたしました。地下空間に広がる宇宙、雨水が岩盤を浸透し、滴った水滴は波紋と広がり、鉱物を風化させ、様々な素材へと変化し、それに触れた自分の指先は経験値を通過し好奇心となり、作品制作の為のエネルギーへと変わり実験と試行錯誤を経て作品を産み出す事が出来ました。 工芸の仕事をして20年近くとなりますが、その間に身に付いてきた素材への関心と技術、経験値を表現の世界に持ち込めたことで、これまでの陶芸人生の中でも、大きな変化を迎える機会となりました。 深く深く、まだ誰も進んでいない方向に。それでも培ってきたものは、大切に育み続けます。 石田 和也 Exhibition Review 備前磁器の可能性 備前の新たな素材とリンクして未来を創造する石田和也(38歳)は備前市在住の陶芸家です。備前焼の原材料となる田土や山土の枯渇が危惧されている中、石田和也は陶芸の世界に進みます。 日本の生活文化スタイルが欧米化に進む中で修行中に英国に縁ができ、現地工房での研鑽で磁器と出会い早く


秋山 幸 展 一Home一|天プラ・セレクションVol.104
私が6歳の時に祖父が亡くなった。生前、画家で小学校の校長をしていた祖父にとって、忙しい日々の中で時間を見つけ自分のアトリエに通うことが、かけがえのない時間だった姿を幼いながらに肌で感じていた。祖父のいない、アトリエに残された絶筆の油絵を初めて触った。チューブから出た絵の具と溶き油が混じり合い固まり、その独特の硬さに驚いた。イメージを乗せた絵の具が形を変えて空気と化学反応を起こし、キャンバスに永遠に定着している様子が今絵を描いている私の原風景のようにインプットされている。 真夜中の内モンゴルの暗闇に一人立った時も、愛猫が老衰で目の前で死んだ時も、娘が生まれた時も、いつも身体という存在を感じた。肉体を意識して目の前のことに対面することがテーマであった。 意識が近づいたり離れたり、見ている風景の山頂と私が立っている地面の下はつながっていること。自分に関係ない遠い場所に、食べ物や文化を通してつながっていること。絵を描くことは、ピンと張られたキャンバスが地面やテーブルや皮膚のように広がっていて、その上に絵の具でビルドし、地面を掘り、空から俯瞰してみることを


潮 嘉子 展 一胡蝶之夢一|天プラ・セレクションVol.103
私は、花鳥画で「夢」を描く。 「夢」をはっきりと覚えている日、見たか覚えていない日、 何かいい夢を見たような気がするがふんわりとしか覚えていない日、 夢だったのか現実だったのかあいまいな日、いろんな日がある。 そんな日々の「夢」を通して、私の思う「華やかさ」「色鮮やかさ」を...


みやじ けいこ 展|天プラ・セレクションVol.101
繰り返し、流れていく日々の生活の中で、自分が記憶しているものの中には「確かに自分のものだ」 「本物だ」 と思える記憶は一体どれくらいあるのでしょうか。 私は子どもを育ててきた中で、たくさんの写真を撮りました。自分ではない命の責任を負いながら、あっという間に時間が過ぎていく...


100回記念展|過去への返信、未来|天プラ・セレクションVol.100
本企画が開催100回目を迎えることを記念し、過去に天プラ・セレクションに選出された作家の中から、開催以後も邁進し続ける気鋭の6人の最新作を中心にグループ展形式の特別展を開催しました。合わせて過去に個展を開催した99人の展示記録による「天プラ・セレクションの軌跡」コーナーも設...


大間 光記 展|集積|天プラ・セレクションVol.99
そこに私が関わった時間、関わった痕跡、 これまでの歩み、感情の変化、 日々の向き合いの中でのものごとのうつりかわり、 そんなものが積もって集まったような塊の表現になればと考えています。 大間光記 Exhibition Review...


藤飯 千尋 展|UNIVERSE|天プラ・セレクションVol.98
私の感情の壺が溢れそうになったとき、 火山が噴火するかのごとく、 一気に制作モードに傾きます。 それは喜びで満たされた時。 その嬉しさを共有したくて。 不条理な世界に憤りを感じた時。 そこに未来の展望を込めて願いとして。 制作の最終段階で手や脚を用い、身体性を伴います。...


寺尾 佳子 展|WATERMARK|天プラ・セレクションVol.97
昨夏からネコを飼い始めたのは、 仲良くなった近所の飼いネコが突然還くに行ってしまったから。 小さな白いふわふわとはずっと一緒にいられると思っていました。 命ってあっけない。 出会ったのは二年前の春のはじめで、 私はちょうど長患いの末に亡くした命を悲しんでいる時でした。...


直原 清美 展|時を織り、その向こうに見えるもの|天プラ・セレクションVol.96
女性が家庭の中で社会の中で居場所を求めて、しぶとくも しなやかに生き抜いてゆく姿を膨大な時間の流れの中からすくい上げました。 画面を貫くモチーフの紐は女性の手から生まれた生の証です。 親から子へ、子から孫へと折り重ねられてゆく「思いの時間」を表現しています。...


松村 晃泰 展|視線の行方|天プラ・セレクションVol.95
天気が悪くなってくると祖母は 「景色悪なってきたな〜」と言っていた。 いつの間にかその言葉が染み込んだ。 仕事をして家事をして。 時々…石を彫りガラスを磨く。 日々の積み重ねが染み込み糧となる。 思い描いた毎日とは少し違うが、 思いがけない景色に出会う楽しさがある。...


山口 深里 展|浮島|天プラ・セレクションVol.94
「意識」「肉体」私とは何か。 不毛とも思えるそんな疑問が消えずに制作のテーマとなっています。 肉体の活動の結果に意識があるはずなのに、 なぜ私は意識ばかりを自分だと思い込んでしまうのか… 肉体を紛れもなく自分自身だと認識できた時、...


大橋 裕子 展|まだ見ぬものたち|天プラ・セレクションVol.93
「見えないけれど確かに存在するもの」 ずっと「しわ」を見つめてきた。あたりを見まわすとひとつとして同じかたちがないことに気づく。 一番身近な皮膚、紙、布、植物などはもちろんのこと、俯瞰的な目で眺めると、小川、みち、うっそうとした森、山ひだなども、地球が生みだす「しわ」と言え...


諸川 もろみ 展|ポーコ・ポコ・コーラとポテトイッチプ|天プラ・セレクションVol.92
一年ぶりに岡山の匂いを嗅いだ。いつも通りだった。 久しぶりに実家の猫に会った。一年ぶりでも私のことを覚えていた。 前よりも少し太っていた。 幼少期の私が言い間違えたポーコ・ポコ・コーラとポテトイッチプは、 あの頃には絶対にポーコ・ポコ・コーラとポテトイッチプだった。...
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