諸川 もろみ 展|ポーコ・ポコ・コーラとポテトイッチプ|天プラ・セレクションVol.92

更新日:7月8日




一年ぶりに岡山の匂いを嗅いだ。いつも通りだった。

久しぶりに実家の猫に会った。一年ぶりでも私のことを覚えていた。

前よりも少し太っていた。


幼少期の私が言い間違えたポーコ・ポコ・コーラとポテトイッチプは、

あの頃には絶対にポーコ・ポコ・コーラとポテトイッチプだった。


この半年で普遍的に見えるものも頼りないということがよく分かった。

自分の意志だけではどうにもならない生活をたくさん知った。


しかし、今日も生きておる。確かに今日も生きておる。


諸川もろみ



Exhibition Review

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の猛威は、2020年の春を境に、日常が日常でなくなり、生活様式も社会活動も一変した。


 まだまだ収束の兆しは見えず、わたし達はこのウイルスとの共存を探り、新しい世の中で、個々の役割・務めを見つめ直す日々を過ごしている。それはアートの世界も同じで、このコロナ禍におけるアートの役割・存在が問われている。

 諸川もろみ展は、不安定な状況が続く中で準備が進められ、今夏予定通り開催された。カノジョの創作は、日常や社会の中の「当たり前」に対する疑問から生まれる。「いま見ている世界が本当なのか、たまに顔を出すふにゃふにゃクルクルとした世界が本当なのか」と日常を問う。

 カノジョの日々の暮らしの中で記録されたさまざまなカタチ。作品のモチーフはありふれたものばかりで、カノジョの私生活の一部を覗き見ているようでもある。これらに日常も非日常も関係ない。そう、アートは、どんな状況にあっても人間本来の創造性が発揮される。現にカノジョは、コロナ前後を異国の地で過ごし、その中で制作にあたっていたし、帰国後の渦中もしかり。そして、それは鑑賞者も同じ。コロナ前でも後でも、変わらず人びとはアートの場に足を向け、作品を通して作家の視点や生き方に触れる。諸川展において私が目にした来場者たちは、制限・制約のある会場内を気負うことなく闊歩し、カノジョの作品と対峙していた。

 諸川もろみの創造、思索に対する純粋さに溢れる会場を後にし、アートは人びとの苦境や社会の難局を乗り越える力を持っていることを実感した。そして、作品を通して創造者と鑑賞者の交流する時空間の存在意義についてあらためて認識する機会になった。


天プラ・セレクション推薦委員/華鴒大塚美術館 主任学芸員 三宅 利枝


岡山県天神山文化プラザ企画展 天プラ・セレクション Vol.92 諸川もろみ展 ポーコ・ポコ・コーラとポテトイッチプ

[会期]2020年8月26日〜30日 [入場無料]

[時間]10時〜18時(最終日は16時まで)

[会場]岡山県天神山文化プラザ・第3・4展示室


諸川 もろみ Moromi Morokawa

1993 岡山県生まれ

2016 広島大学 教育学部 造形芸術系コース 卒業

2019 スウェーデン王立美術大学 交換留学 [2019.9〜2020.3]


現在 筑波大学 人間総合科学研究科 芸術専攻 総合造形領域 在籍


個展

2018 今日も生きておる(新宿眼科画廊/東京)

2020 天プラ・セレクションvol.92 諸川もろみ展「ポーコ・ポコ・コーラとポテトイッチプ」(岡山県天神山文化プラザ)


グループ展

2016 第54回 広島大学 教育学部 造形芸術系コース 卒業制作展(広島県立美術館 県民ギャラリー)

2017 群馬青年ビエンナーレ2017(群馬県立近代美術館)

2017 亀山トリエンナーレ2017(三重県亀山市)


主な賞歴

2016 第15回・第16回 グラフィック I_WALL 入選

2017 群馬青年ビエンナーレ2017 奨励賞

2018 第19回・第20回 グラフィック I_WALL 入選


諸川 もろみ WEBサイト

https://moromoromoro.wixsite.com/mman


出品一覧

タイトル|素材|サイズ(cm)|制作年 生活記録2019.8.29 -2020.3.24, Stockholm|紙、ボールペン、スウェーデンから持ち帰ってきたもの|21×14.8・117枚|2019〜2020


インディカ米をジャポニカ米にする|スウェーデンから持ち帰ったインディカ米2箱、瓶他|サイズ可変|2020


|キャンバスの木枠(F70・F50・F30・F10・F3×2点)、パラフィンワックス|サイズ可変|2019〜2020


脈/一本の線|ビーズ・テグス、ビーズ用金具|7,000×0.2|2019


無題|ファッション雑誌、糊|29.7×23.2・4点|2018


生活画|レシート、インク、メンディングテープ|300×300|2016〜2017


今日も生きておる|レシート、インク他|サイズ可変|2018〜2019


ヒトデ|紙、鉛筆、水彩絵具、クレヨン他|21×29.4|2020


|紙、鉛筆、水彩絵具、クレヨン他|29.4×21|2020


ドラゴン|紙、鉛筆、水彩絵具、クレヨン他|21×29.4|2020


北風|紙、クレヨン|21×29.4|2020


気候変動を危惧する子|紙、水彩絵具、クレヨン|21×29.4|2020


聖ウルスラ|紙、ボールペン、水彩色鉛筆|21×29.4|2020


聖ウルスラ|紙、ボールペン、水彩色鉛筆、アクリルガッシュ|29.4×21|2020


ニュー・オリンピア|鉛筆、木炭|36.4×51.5|2019


オブジェ|紙、家にあったもの、レシート他|サイズ可変|2020


私は見られることでのみ存在している|キャンバス、ファッション雑誌、アクリルガッシュ、アクリル絵具|194×130.3|2016


 

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本記事は、2020年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクションVol.92 諸川もろみ展 記録集より抜粋しています。掲載内容は発行時点のものです。


発行:岡山県天神山文化プラザ

発行日:2020年10月31日

印刷:株式会社 三浦印刷所

編集:加藤淳子[岡山県天神山文化プラザ]

デザイン:鳥越眞生也[鳥越屋]

撮影:加賀雅俊[べあもん]

 

<記録集をご希望の方は、天神山文化プラザ文化情報センターにてご購入いただけます>


令和元年度・令和2年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクション 記録集

岡山県天神山プラザ企画展「天プラ・セレクション」として2019年5月28日〜2021年2月28日の期間に開催された6人の各展覧会の個別の小冊子を合本し、2年間の記録集として発行したものです。


<目次>

  • 二乃本 曙暢 展|Vibration ―鼓動―|天プラ・セレクションVol.89

  • 岡本 汐加 展|―Process: play with the site―|天プラ・セレクションVol.90

  • 原田 よもぎ 展|青い国の話|天プラ・セレクションVol.91

  • 諸川 もろみ 展|ポーコ・ポコ・コーラとポテトイッチプ|天プラ・セレクションVol.92

  • 大橋 裕子 展|まだ見ぬものたち|天プラ・セレクションVol.93 

  • 山口 深里 展|浮島|天プラ・セレクションVol.94

カラー52ページ

税込1,000円


※各展覧会の個別の小冊子も発行しています(カラー8ページ/税込200円)


お問い合せ

〒700-0814 岡山市北区天神町8-54岡山県天神山文化プラザ

TEL 086-226-5005

FAX 086-226-5008

メール tenplaza@o-bunren.jp

受付時間 9:00~18:00

休館日 月曜日、年末年始(12月28日~1月4日)

 

「天プラ・セレクション」シリーズは、岡山県ゆかりの作家を選抜し個展形式で紹介する、天神山文化プラザの企画展シリーズです。 開催作家の選考は、推薦と公募の2部門から行います。