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岡本 汐加 展|―Process: play with the site―|天プラ・セレクションVol.90

更新日:4月17日



日本近代建築史を代表する前川國男によるモダニスズム建築の傑作である天神山文化プラザ。


―Process: play with the site―での制作は、ここからスタートしています。


全国に点在する前川建築を訪問調査し、色彩や光などの既存建築空間の要素からインスピレーションを得て、テキスタイルデザインへと展開させました。カーテンの提案やプリントデザインの制作など、それぞれ異なる角度から「天神山文化プラザ」を捉えて形にしたもので、本建築の魅力が無限大であることを示しています。


全ての作品は、この場所だからこそ表現することができました。

展覧会を通して、会場である天神山文化プラザをはじめとしたモダニズム建築の文化的価値を共有し、場所と人とを繋ぐ機会が創出されることを期待します。


岡本 汐加



Exhibition Review

 本展示において岡本汐加は、前川國男氏が設計した天神山文化プラザの建築を主題とした多種多様なテキスタイルデザインを提案した。竣工当時の閲覧室には落ち着いた空間を演出するための“Stripe"。現在の空間には透け感のある幾何パターンを組み入れた“Rhythm"。そして、ブレーズ・ソレイユを通過しファサードから室内に差し込む光の線をモチーフにした“Light Lines“。これらのプリントテキスタイルは、建築自体の特性に着目し、自然光が入り込む天神山文化プラザの空間や、そこに起こる現象を、素材、色彩、パターンの中に巧みに取り込み、前川建築との心地よい一体感があった。そして、それぞれのプリントテキスタイルを空間に展開させたイメージには説得力と見応えがあり、清澄な光を感受する静穏なスペースを想見させた。


 また、前川建築の植林として顕著にみられる欅(けやき)の樹幹をとりあげた“Keyaki"、レリーフ作品「鳥柱」にインスピレーションを受けた“Movement"は、周囲環境や外壁レリーフといった外の要素を、空間内部を彩るプリントテキスタイルとして展開し、双方ともに手描き表現をベースとしながら、直線と曲線の対比、動と不動の対比が際立つテキスタイルデザインとして、鑑賞者と場所を繋いだ。


 これらの新たなテキスタイルデザインの提案にあたり、岡本は国内各地の前川建築を訪れ、周囲環境も含めた綿密な調査をおこなっている。文献で得られる過去の情報に自らの調査体験を重ねあわせてコンセプトを練り、建築そのものを尊重しつつ独自の視点を有機的に絡ませながらデザインを構築する手法とプロセスは、非常に合理的で洞察力に富んでいる。


 次はどのような主題に対してテキスタイルデザインから空間へと展開させるのか、そのプロセスを含めて大いに楽しみである。


天プラ・セレクション推薦委員/岡山県立大学 准教授 島田 清徳


岡山県天神山文化プラザ企画展 天プラ・セレクション Vol.90 岡本汐加展 ―Process: play with the site―

[会期]2020年3月17日〜22日 [入場無料]

[時間]10時30分〜18時(最終日は16時まで)

[会場]岡山県天神山文化プラザ・第3展示室


岡本 汐加 Shioka Okamoto

1989 大阪府生まれ、徳島県育ち

2013 多摩美術大学生産デザイン学科 テキスタイルデザイン専攻 卒業

2014 チェルシーカレッジオブアーツ GDip Interior Design(英国)卒業

2016 デンマーク王立芸術大学 MA Textile Design (デンマーク)修了


現在 岡山県立大学デザイン学部造形デザイン学科助教


主な活動

2006 第61回 徳島県美術展(徳島県郷土文化会館)

2006 第91回 二科展(上野の森美術館/東京)

2007 第15回 放美展(徳島県郷土文化会館)

2010 六本木アートナイト「美ナビ展」(森アーツセンターギャラリー/東京)

2013 多摩美術大学テキスタイルデザイン専攻 卒業制作展(スパイラル/東京)

2014 合同展「Chelsea College of Arts Summer Show」(ロンドン)

2015 グループ展「Color and Matter in Textile Design」(コペンハーゲン)

2015 グループ展「KADK NØW」Ventura Lambrate(ミラノ)

2016 合同展「Afgang Sommer」(コペンハーゲン)

2018 Art Hack Day「Being There 現れる現在」(日本科学未来館/東京)

2019 グループ展「Ocean Stories」(水平線ギャラリー / 神奈川)

2019 Design Week Kyoto “Craftthon2018”成果展(MTRL Kyoto/京都)

2020 国際コンペ Talente 2020(ミュンヘン)

2020 天プラ・セレクションvol.90 岡本 汐加 展「Process: play with the site」(岡山県天神山文化プラザ)


岡本 汐加 WEBサイト

出品一覧

テーマ|タイトル|形状|サイズ(cm)|素材 現在の天神山文化プラザに対するカーテンテキスタイルの提案|「Rhythm」|シリーズ2点・原寸模型|長さ約280cm|ポリエステル混紡生地


竣工当時の天神山文化プラザに対するカーテンテキスタイルデザインの提案|「Stripe」|4色展開・原寸模型|長さ約280cm|綿100%生地


北面ファサードから差し込む光をモチーフとしたパターンのプリントテキスタイル|「Light Lines」|シリーズ3点・プリント生地|幅約110cm|麻混紡生地・レーヨン混紡生地


欅の樹幹表面を模写したパターンのプリントテキスタイル|「Keyaki」|シリーズ4点・プリント生地|幅約110cm|綿100%生地


天神山文化プラザを象徴するレリーフ作品『鳥柱』にインスピレーションを受けたパターンのプリントテキスタイル|「Movement」|シリーズ4点・プリント生地|幅約110cm|綿100%生地


以上展示作品全て、制作年:2019年 技法:シルクスクリーンプリント(手捺染)


第3展示室・中2階に、前川國男建築の調査資料及びスケッチを展示。


 

サイト訪問者からの連絡受付

事務局経由で受け付ける




 

本記事は、2019年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクションVol.90 岡本汐加展 記録集より抜粋しています。掲載内容は発行時点のものです。


発行:岡山県天神山文化プラザ

発行日:2020年4月30日

印刷:株式会社 三浦印刷所

編集:加藤淳子[岡山県天神山文化プラザ]

デザイン:鳥越眞生也[鳥越屋]

撮影:加賀雅俊[べあもん]

照明:池田正則[岡山県天神山文化プラザ]

 

<記録集をご希望の方は、天神山文化プラザ文化情報センターにてご購入いただけます>


令和元年度・令和2年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクション 記録集

岡山県天神山プラザ企画展「天プラ・セレクション」として2019年5月28日〜2021年2月28日の期間に開催された6人の各展覧会の個別の小冊子を合本し、2年間の記録集として発行したものです。


<目次>

  • 二乃本 曙暢 展|Vibration ―鼓動―|天プラ・セレクションVol.89

  • 岡本 汐加 展|―Process: play with the site―|天プラ・セレクションVol.90

  • 原田 よもぎ 展|青い国の話|天プラ・セレクションVol.91

  • 諸川 もろみ 展|ポーコ・ポコ・コーラとポテトイッチプ|天プラ・セレクションVol.92

  • 大橋 裕子 展|まだ見ぬものたち|天プラ・セレクションVol.93 

  • 山口 深里 展|浮島|天プラ・セレクションVol.94


カラー52ページ

税込1,000円


※各展覧会の個別の小冊子も発行しています(カラー8ページ/税込200円)


お問い合せ

〒700-0814 岡山市北区天神町8-54岡山県天神山文化プラザ

TEL 086-226-5005

FAX 086-226-5008

メール tenplaza@o-bunren.jp

受付時間 9:00~18:00

休館日 月曜日、年末年始(12月28日~1月4日)

 

「天プラ・セレクション」シリーズは、岡山県ゆかりの作家を選抜し個展形式で紹介する、天神山文化プラザの企画展シリーズです。 開催作家の選考は、推薦と公募の2部門から行います。

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