直原 清美 展|時を織り、その向こうに見えるもの|天プラ・セレクションVol.96



女性が家庭の中で社会の中で居場所を求めて、しぶとくも

しなやかに生き抜いてゆく姿を膨大な時間の流れの中からすくい上げました。

画面を貫くモチーフの紐は女性の手から生まれた生の証です。

親から子へ、子から孫へと折り重ねられてゆく「思いの時間」を表現しています。

その一助として、薄く溶いた油絵具を半抽象画面に何度も何度も塗り重ねました。

中二階から見下ろした第三展示室の広い空間に、私の作品テーマである

女が生きた「時の流れ」を溶け込ませてみようという冒険心を起こしました。

そして何者にも縛られない自由な表現の試みとして大画面を選びました。

これからも自らが紡いだ紐で繋がった人達の思いを両掌の中に絡めて

「その向こうに見えるもの」を探し求めてゆきたいと思います。

直原清美



Exhibition Review

 一見抽象表現画にみえるけれども、不思議な生活感のある、具象的イメージの絵である。所謂、描写画の具象ではなく、作者の生活の中から生れた形象であると思われる。布の形状や紐や色彩と空間の微妙な奥行き表現や動きの表現か、その生活感の中から浮び出た画面構成が、表現を支えているからであろうと思える。

 制作者の表現は、その人格の存在の過程が基礎になっている。私はその事が全てであると思っているが、たとえ想像力の賜であろうともその想像力は、その中から生れるものである。

多忙な生活のなかでこつこつと描き、自己表現を追求し続けて独自の抽象的表現にたどり着き、個性的な作風をつくり上げている作者に制作の敬意を表したいと思っている。

 天プラ・セレクションを企画運営している天神山文化プラザの担当者が、直原氏のこの個展の案内状に見事にこの画家の表現の特質と、その着想の源泉を『社会の中で、家庭の中で、女性は自分の居場所を探し続けてきました。直原は女性の手仕事が居場所を見つけ出し生き抜いてきた証の一つだと考え、織物や組紐をモチーフとして組み込んだ画面を構成します』と書いている。直原氏の作品の制作の本質的な理解の上に立った一文であろうと思っている。

 現代に生きる一女性の生活者として表現に託した思いの深さに想いを馳せて、じっくり鑑賞したいものである。

 会場へ来て今改めて、この一年半の間に、展示された大作を含む14点の制作をなしとげ、見事な会場構成を見せる氏の長年の格闘に心からの敬意を表したい。一人の昭和の女性画家の暮しの在りようと絵画思想の充実に、その人生の核の部分を、所謂嫁ぎ先での暮しのありようと生き抜く術を現して余りある空間の実現である。


彫刻家/一般社団法人岡山県美術家協会 会長 蛭田 二郎


岡山県天神山文化プラザ企画展 天プラ・セレクション Vol.96 直原清美展 時を織り、その向こうに見えるもの

[会期]2021年12月7日〜12日 [入場無料]

[時間]9時30分〜17時(最終日は16時まで)

[会場]岡山県天神山文化プラザ・第3展示室


直原 清美 Kiyomi Jikihara

1947 岡山県早島町生まれ・在住

1998 武蔵野美術大学短期大学部美術科 卒業


主な個展

2008 art space テトラヘドロン(岡山)

2009 Shonandai My Gallery(東京)

2011 淳風会スペース・ヴェーネレ(岡山)

2019 ギャラリーあづま(東京)

2020 art space テトラヘドロン(岡山)

2021 天プラ・セレクションvol.96 直原清美展「時を織り、その向こうに見えるもの」(岡山県天神山文化プラザ)


主なグループ展

1989 美術文化協会展出品[以降毎年]

2005 美術文化15人展(銀座アートギャラリー/東京)

2013 ベストセレクション美術2013(東京都美術館)

2014 中野中企画「風土に生きる」(ギャラリー/東京)[以降毎年]

2018 アートSUN展(岡山県天神山文化プラザ)

主な賞歴

1997 岡山の四季コンテスト 準グランプリ・岡山県展 山陽新聞社賞

1999 美術文化協会展 奨励賞

2006 上野の森大賞展 入選

2017 美術文化協会展 会員賞 [同賞受賞2018]


出品一覧

タイトル|素材/技法|サイズ(cm)|制作年

時を織る|キャンバス/油彩|503×112×110|2021

時を翔ける|キャンバス、パネル/油彩|162×131、各20×20・11点|2020

八方尾根・丸山ケルン|キャンバス/油彩|182×262|2020

時を翔ける18|キャンバス、綿布/油彩|262×162、各15×15×15・12点|2018

風に吹かれて'21|キャンバス/油彩|162×300|2021

時を織る'20|キャンバス/油彩|117×405|2020

朝を待つ|キャンバス/油彩|170×218|2021

風と語る|キャンバス/油彩|各162×131・3枚組|2021

時の狭間Ⅰ・Ⅱ|スチレンボード、和紙/油彩|各115×82.5・2枚組|2021

時を編む|キャンバス/油彩|132×600|2021

晴れたらいいね上高地|キャンバス/油彩|157×162|2021

風のゆくえⅠ|パネル/油彩|50×150|2021

|キャンバス/油彩|36×34|2020

風のゆくえⅡ|キャンバス/油彩|54× 118|2021

 

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本記事は、令和3年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクションVol.96 直原清美展 記録集より抜粋しています。掲載内容は発行時点のものです。

発行:岡山県天神山文化プラザ

発行日:2022年2月28日

印刷:株式会社 三浦印刷所

編集:名合貴洋[岡山県天神山文化プラザ]

デザイン:鳥越眞生也[鳥越屋]

撮影:加賀雅俊[べあもん]

 

<記録集をご希望の方は、天神山文化プラザ文化情報センターにてご購入いただけます>


令和3年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクション 記録集

※各展覧会の個別の小冊子(カラー8ページ/税込200円)

  • 松村 晃泰 展|視線の行方|天プラ・セレクションVol.95

  • 直原 清美 展|時を織り、その向こうに見えるもの|天プラ・セレクションVol.96

  • 寺尾 佳子 展|WATERMARK|天プラ・セレクションVol.97


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〒700-0814 岡山市北区天神町8-54岡山県天神山文化プラザ

TEL 086-226-5005

FAX 086-226-5008

メール tenplaza@o-bunren.jp

受付時間 9:00~18:00

休館日 月曜日、年末年始(12月28日~1月4日)

 

「天プラ・セレクション」シリーズは、岡山県ゆかりの作家を選抜し個展形式で紹介する、天神山文化プラザの企画展シリーズです。 開催作家の選考は、推薦と公募の2部門から行います。