巽 明理 展 一根っこの所一|天プラ・セレクションVol.108
- 1 日前
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近年は歴史を学んだり自然の営みを観察する事によって、時代が変わっても変わらない人間の感性を抜き出そうとしていました。
今回の展示を準備するに当たり、これまでの作品を纏めて俯瞰で捉えた時、
自分はとりわけ、時の流れを想像させる瞬間に心が動かされているのではないかという気付きがありました。
今後制作していく中でそれを意識する事によって、より核心に近づけるのではないかと期待しています。すっきりと広い会場で、個展の機会を与えてくださった事を感謝いたします。
巽 明理




Exhibition Review
岡山に移住して数年、発表の場を求め自ら応募、これまでに制作した主要作品と新作を一堂に展覧した。バイタリティー溢れる密度の濃い大作、ちょっと“ヘンテコ”な立体造形が目を惹いた。
奈良県出身の巽は、幼少の頃から絵が巧く、両親の勧めもあり、美大を目指すことになったという。高校で美術部に入り、広く日本画や水彩、アクリル等に親しみ、デッサンの修練でモノの見方や観察眼を養った。中でも特に油絵具のつるつるとすべり、手に負えないところが面白く虜になった。溶油によっても異なる発色にこだわる。塗りこみすぎるとえぐみが出て、乾くと彩度が沈んでしまう。重厚になりがちな画面の彩度を保ち、光を乱反射させ、鮮やかにみえるよう工夫する。大学では技法研究とともにコンセプトを言語化することを徹底的にたたき込まれた。私的なものをテーマとすることが多い現代美術の中で、人類共通の神話や土着的な民俗、身近な自然をテーマに据える。卒業後は自由に油画に取り組み、自身の表現を深めるとともに、畑をすることで土づくりから自然と向き合う日々を過ごす。
画面に近寄って見るがいい。彩度の高い緑や青、紫を基調に隅々までディテールを描きこみ、均一に手を掛け、整えられた画面は、どこか現実離れしている。我々が見えていないだけで自然の色とは斯様にも鮮やかなものなのか? 巽が生み出す不可思議な色の世界に迷い込む。学生時代、絵画に行き詰まり、ぬいぐるみを出したら思いの外、評判がよく、四回生の時はほぼ立体作品を創っていたという。課外活動の演劇で衣装製作に携わってきたことが活きた。キャンバスで造形し、絵具で着彩する。色とりどりの “ヘンテコ”さがいい。立体にすることで好きな油彩の世界も広がるかもしれない。テキスタイルや彫刻の世界を探ってみるのもよいだろう。岡山の美術界にまたひとり新しい仲間ができた。
岡山県立美術館副管理者 福冨 幸
岡山県天神山文化プラザ企画展 Tenpla Selection Vol.108 ×Closs 巽 明理 展 一根っこの所一
[会期] 2025年6月24日[火]-6月29日[日]
[時間] 10:00-17:00
[会場] 天神山文化プラザ 第3展示室
巽 明理 Tatsumi Akari
1996 奈良県橿原市生まれ
2010 京都市立芸術大学 美術学部美術科油画専攻 卒業
現在 岡山県真庭市在住
主な活動
2010 二人展「CHANNELING」(ムロマチアートコート/京都)
2011 個展「植物園」(ART-IN-GALLERY/東京)
個展 「あたりまえに蜜月」(同時代ギャラリー/京都)
2012 個展「ひたすら逃げる」(ニヒル牛2/東京)
2014 個展「クラブ27」(芝田町画廊/大阪)
個展 「旅籠」(八木札の辻交流館/奈良)
2016 個展「愚直リーチ」(同時代ギャラリー collage/京都)
2020 個展「この世ととこ世の」(アートスペース上三条/奈良)
2025 Tenpla Selection Vol.108 ×Closs「巽明理展一根っこの所一」(岡山県天神山文化プラザ/岡山)
主な賞歴
2013 「京展」館長奨励賞
「Graphic Grand Prix by Yamaha」優秀賞
2020 「Art Exhibition 瀬戸内大賞」銀賞
2024 「FACE 2024」審査員特別賞・オーディエンス賞
「昭和会展」入選
出品一覧
タイトル|素材/技法|サイズ(cm)|制作年
せきせき|162×130|2025年
思い出は鮮やかな夢|162×130|2025年
宗像の海|162×130|2025年
CYCLE|162×194|2023年
cycle|27×22|2024年
環|46×46|2024年
トリツメクサ|27×27|2024年
トリツメクサ|27×27|2024年
地べた宇宙|162×162|2024年
地球の質感|91×91|2023年
地球の質感|53×53|2023年
地球の質感|53×53|2023年
セツブンソウ|46×46|2025年
ふるう|65×46|2024年
塒|117×117|2023年
でんぷん工場|65×65|2022年
内ハほらほら|117×117|2022年
日の本に雨|91×91|2022年
路地裏の隅|46×46|2021年
あまがみ|91×91|2021年
すさのう|117×117|2021年
イワナガヒメ|162×194|2021年
スクナヒコナ|117×117|2020年
イソラマル|67×24|2020年
ククリヒメ|67×24|2020年
苔とキノコ|27×27|2020年
苔とアリ|27×27|2020年
GATE|117×117|2020年
FLOAT|117×117|2020年
春の日あくび|91×91|2019年
呉を歩く|117×117|2019年
海と陰影|117×117|2018年
雪獅子舞|27×27|2018年
ヤク舞|27×27|2018年
お面の目の目|117×117|2020年
道化の子供のゐる世界|73×117|2019年
獅子一頭|65×46|2018年
獅子と天狗|46×65|2019年
おどる魂|194×97|2018年
ひふる|97×130|2010年
※以上平面作品 素材/技法:キャンパス・油彩
ん|41×28×30|2023年
ふくら根っこ|60×90×60|2014年
宇宙芋虫|47×46×32|2013年
ヤドリ|35×59×45|2012年
タタリギョ|80×120×80|2010年
sampleO|60×90×50|2010年
sampleAB|60×90×50|2010年
※以上立体作品 素材/技法:キャンパス・綿・コピックペン・発泡ビーズ・錘
サイト訪問者からの連絡受付
事務局経由で受け付ける
本記事は、令和7年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクションVol.108 巽 明理 展 記録集より抜粋しています。掲載内容は発行時点のものです。
発行:岡山県天神山文化プラザ
発行日:2025年8月31日
印刷:株式会社 三浦印刷所
編集:須波 葵枝[岡山県天神山文化プラザ]
デザイン:鳥越 眞生也[鳥越屋]
撮影:加賀 雅俊[べあもん]
<記録集をご希望の方は、天神山文化プラザ文化情報センターにてご購入いただけます>
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※各展覧会の個別の小冊子(カラー8ページ/税込200円)
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お問い合せ
〒700-0814 岡山市北区天神町8-54岡山県天神山文化プラザ
TEL 086-226-5005
FAX 086-226-5008
メール tenplaza@o-bunren.jp
受付時間 9:00~18:00
休館日 月曜日、年末年始(12月28日~1月4日)
「天プラ・セレクション」シリーズは、岡山県ゆかりの作家を選抜し個展形式で紹介する、天神山文化プラザの企画展シリーズです。 開催作家の選考は、推薦と公募の2部門から行います。









