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千 足 展|オノマトペ|天プラ・セレクションVol.82

更新日:4月17日




懐かしい記憶や気持ちがいい色、好きなモチーフをコラージュするように作っています。

“なぜだかわからないけどいいね”と言ってもらえる作品づくりが私のテーマです。


今回は、これまで発表してきたコラージュ的な画面ではなく、

物語のワンシーンを切り取るように描くことで、

見てくださる方の中で物語の続きを膨らましてもらえるような作品を目指しました。


これからも、見る人が何かを感じる作品を作っていきたいです。


千 足



Exhibition Review

千足(ちたり)さんの描く一枚の絵には、語りつくせない多くのストーリーが内包されているように見える。それぞれの一枚から、見る者は自由に物語を紡ぎ出してゆく。虚ろな眼で悲しげな表情を浮かべる少女に感情移入しながら、私たちはファンタジィの世界へと入って、豊かな時の流れに身を委ねる。


これを日本美術史に位置付ければ、底流には鈴木春信から小村雪岱へと続く、華奢な少女像の系譜がある。岡山では竹久夢二が丸ごと受け持つことになるが、大正ロマンのアンニュイは、フランス映画に出てくるそばかすだらけの少女にも似て、千足さんに引き継がれている。幸薄そうな弱い目力には、ナイーブを裏返しにした「したたかさ」もうかがえるが、そこには作者自身の浪花女としての自負があるのかもしれない。


表情が実にいいのだが、今回の個展では意識的に人物は引き下がり、それを取り巻く白い大地や青い空や雲が広がりを見せている。小さくうしろ姿で登場する少女もいるが、表情を見せないぶん背中が語り始める。


会場のメインスペースに四枚続きの横長のパネルが並ぶ。少女たちは糸電話でつながるが、その回路を遮断するかのように、前景にはハサミが不気味に刃を広げる。画面の断ち切りは絵巻物を見るようで、窓越しにのぞき見た秘密の楽園を、効果的に展望させている。ハサミを握る手の主が、誰であるかはわからないままで、ミステリアスなストーリーテラーとしての本領が発揮される。もちろん表情をクローズアップした旧作も数多く並べられ、そこに年齢は若いが、画家としての力量を感じさせてくれる。


天プラ・セレクション推薦委員/倉敷芸術科学大学教授 神原 正明


岡山県天神山文化プラザ企画展 天プラ・セレクション Vol.82 千足 展 オノマトペ

[会期]2018年3月27日〜4月1日 [入場無料]

[時間]10時〜18時(最終日は16時まで)

[会場]岡山県天神山文化プラザ・第4展示室


千 足 Chitari

1979 大阪府生まれ

1999 大阪総合デザイン専門学校 卒業

2014 倉敷芸術科学大学 芸術学部 メディア映像学科 勤務 [〜’17]


現在 大阪府在住


個展

2012 このごろ(TAMBOURIN GALLERY/東京)

2015 心緒のつぎはぎ(アートスペース亜蛮人/大阪)

2016 そこからみえる(ART HOUSE/大阪)

2018 天プラ・セレクション vol.82「千足展 オノマトペ」(岡山県天神山文化プラザ)


グループ展

2011 つながる つながる(GALLERY ANTENNA/京都)

2012 girls drug 〜甘くて癖になる少女絵画〜(アートスペース亜蛮人/大阪)

2013 よるがくる(gallery re:tail/東京)

2017 Japanese Water Color Painting -九夏-(イロリムラ/大阪)

2017 poco a poco(イロリムラ/大阪)


その他

2008 『季刊SS vol.15』表紙イラスト

2010 『カラーマーカーで描くコミックアート』(誠文堂新光社)発行

2011 Mystery Blanc『ミステリーへの招待状』掲載

2014 『昔、火星があった場所』(著:北野勇作)表紙イラスト

2016 『季刊SS vol.41』表紙イラスト


千足 Twitter

出品一覧

タイトル|素材/技法|サイズ(cm)|制作年 バラバラなアウトライン|アクリル|サイズ可変・4枚組|2017

チカチカしたリズム|アクリル|72.7×412|2018

とんちんかんな灯|アクリル|72.7×117|2018

うずうずするむらさき|アクリル|80.2×100|2018

はっきりしないわたし|アクリル|80.2×100|2018

ぎらぎら1/31|アクリル|72.7×117|2017

ぎらぎら31/31|アクリル|72.7×117|2018

がやがや|アクリル・水彩|サイズ可変・26点|2009-2018


 

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本記事は、平成29年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクションVol.82 千足展 記録集より抜粋しています。掲載内容は発行時点のものです。


発行:岡山県天神山文化プラザ

発行日:平成30年5月31日

印刷:株式会社 三浦印刷所

編集:福田淳子[岡山県天神山文化プラザ]

デザイン:鳥越眞生也[鳥越屋]

撮影:加賀雅俊[べあもん]

照明:池田正則[岡山県天神山文化プラザ]

 

<記録集をご希望の方は、天神山文化プラザ文化情報センターにてご購入いただけます>


平成29年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクション 記録集

岡山県天神山プラザ企画展「天プラ・セレクション」として2017年4月25日〜2018年4月1日の期間に開催された6人の各展覧会の個別の小冊子を合本し、1年間の記録集として発行したものです。


<目次>

  • 髙原洋一 展|反復:生成|天プラ・セレクションVol.77

  • 杉山恭平展|空想の世界|天プラ・セレクションVol.78

  • 金孝妍展|線ヲ思フ|天プラ・セレクションVol.79

  • 田丸稔展|叙事詩の男、こがねいろの月|天プラ・セレクションVol.80

  • 中本研之 陶展|派生|天プラ・セレクションVol.81

  • 千 足 展|オノマトペ|天プラ・セレクションVol.82


カラー52ページ

税込1,000円


※各展覧会の個別の小冊子も発行しています(カラー8ページ/税込200円)


お問い合せ

〒700-0814 岡山市北区天神町8-54岡山県天神山文化プラザ

TEL 086-226-5005

FAX 086-226-5008

メール tenplaza@o-bunren.jp

受付時間 9:00~18:00

休館日 月曜日、年末年始(12月28日~1月4日)

 

「天プラ・セレクション」シリーズは、岡山県ゆかりの作家を選抜し個展形式で紹介する、天神山文化プラザの企画展シリーズです。 開催作家の選考は、推薦と公募の2部門から行います。

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