田丸稔展|叙事詩の男、こがねいろの月|天プラ・セレクションVol.80

更新日:7月8日



単独の個展開催の経験が未だなかった私にとって、今回の展示はまたとない機会だった。

まだ人生を振り返るような年齢だとは思ってはいないが、この個展によって、今後向かう先を見定めるための自己確認をすることができたことは、何より代え難い財産になったと思っている。


ある身近な人の言葉を載せて末筆としたい。

「意味があるからやるのではない。説明できない止み難い思いが行動をさせる。振り返れば意味が生まれている。」


田丸 稔



Exhibition Review 現代具象彫刻の極北を求めて

今、この本格的な個展を通観して思うことは、氏はまぎれもなく次世代を担う具象彫刻界の旗手の一人であるということの実感である。近来、稀にみる新鮮にして、充実した作品群の大展覧会である。


氏の学びの過程や、制作のありようを知悉していたつもりではいたが、一堂に陳列された作品群を前にして、改めてその営為の質の高さ、内容の深さに心を動かされている。そして改めて具象彫刻の表現の可能性に思いを馳せてもいる。


氏の制作はオーソドックスな彫刻学の言うところの要素を具えていて、しかも最も大切な作者自身のオリジナリティ溢れる独自の形態観による形作りと、それによって生み出される深い表現性は、作り手の内触覚的感性と内から迸る彫刻的エネルギーの発露によるものである。この内部知覚的な情動による感覚性は塑造制作の原理的なものである。


塑造は粘土と言う可塑性そのものの謂である。その自由さが、身体感覚を掌を通して直接的に粘土に移り、内面の深い表現をもたらすものである。氏には加えて時代感覚に裏付けられた知的な構造意識と形態観によって、人間的な豊かな情感と深いポエジーの実現がある。即ち或る種の硬値な抒情である。具象彫刻の豊かな可能性と、極度に鋭くとぎすまされたソリディティの意志を持続させて、今後の制作に邁進されることを、心から希み応援している。


天プラ・セレクション推薦委員/日本芸術院会員 蛭田 二郎


岡山県天神山文化プラザ企画展 天プラ・セレクション Vol.80 田丸稔展 叙事詩の男、こがねいろの月

[会期]2017年11月14日〜19日 [入場無料]

[時間]9時30分〜18時(最終日は16時まで)

[会場]岡山県天神山文化プラザ・第3・4展示室


田丸稔 Minoru Tamaru

1968 島根県松江市生まれ

1993 岡山大学大学院 教育学研究科美術教育専攻 修了


現在 岡山県倉敷市在住、倉敷芸術科学大学 芸術学部 教授、岡山県美術家協会会員、岡山県美術展審査委員、公益社団法人日本彫刻会会員、公益社団法人日展会員


主な活動

2003 第17回文化庁現代美術選抜展(長野県信濃美術館ほか)

2005 日韓現代美術特別展(福岡アジア美術館/福岡、ソウル)

2010 第12回倉敷新鋭作家選抜美術展(倉敷市立美術館)

2011 JR岡山駅西口木かげ広場モニュメント「吉備の冠者」制作

2012 第62回佐賀県美術展覧会の審査員を務める

2012 岡山県天神山文化プラザ開館50周年記念展「美へのまなざし・交差する世界」(岡山県天神山文化プラザ)

2013 アートの今・岡山2013「BODY-身体の記憶」(岡山県天神山文化プラザ)

2014 公募団体ベストセレクション美術2014 (東京都美術館)

2015 都美セレクション新鋭美術家 2015(東京都美術館)

2017 天プラ・セレクションvol.80「田丸稔展 叙事詩の男、こがねいろの月」(岡山県天神山文化プラザ)


主な賞歴

1998 第33回 昭和会展 優秀賞受賞(日動画廊本店/東京)

2006 第38回 日展 特選受賞 [2回目]

2006 第8回 岡山芸術文化賞 準グランプリ受賞

2007 第4回 マルセンスポーツ文化賞 マルセン文化賞受賞


出品一覧

タイトル|素材/技法|サイズ(cm)|制作年 叙事詩の男と馬|FRP|110×120×60|2015

断碑抄 -夷狄の矢-|FRP|195×100×70|2004

叙事詩の男と馬|FRP|170×110×60|2014

叙事詩の男|FRP|110×100×50|2010

叙事詩の男と馬|FRP|110×100×60|2012

叙事詩の男と馬|FRP|110×100×60|2013

叙事詩の男と馬|FRP|110×100×60|2014

赤銅色|FRP|195×70×60|2003

アンドロメダ|FRP|195×50×50|2010

ふたり、もしくは月と花|FRP|110×80×60|2016

部屋|FRP|195×50×50|2007

部屋|FRP|120×140×60|2011

部屋|FRP|140×50×50|2012

部屋|FRP|140×100×70|2015

部屋|FRP|150×40×60|2008

むらくもかかりたる月|FRP|120×100×60|2017

戦士のためのアダージョ|ブロンズ|40×70×20|1997

むらくもかかりたる月|FRP|18×10×10|2017

ある叙事詩より|ブロンズ|60×25×25|1995

叙事詩の男|石膏|50×20×30|2010

ひとつの寓意|FRP|90×50×30|1997

叙事詩の男と馬|FRP|40×25×20|2013

部屋|FRP|20×15×10|2015

ひとり、もしくは月|ブロンズ|50×20×20|2016

部屋|FRP|140×100×70|2015

自刻像|FRP|30×20×20|1993

吉備冠者|ブロンズ|15×10×10|2010

素描習作1〜6|鉛筆|各:51.5×36.4|2012


 

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本記事は、平成29年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクションVol.80 田丸稔展 記録集より抜粋しています。掲載内容は発行時点のものです。


発行:岡山県天神山文化プラザ

発行日:平成30年1月31日

印刷:株式会社 三浦印刷所

編集:福田淳子[岡山県天神山文化プラザ]

デザイン:鳥越眞生也[鳥越屋]

撮影:加賀雅俊[べあもん]

照明:池田正則[岡山県天神山文化プラザ]

 

<記録集をご希望の方は、天神山文化プラザ文化情報センターにてご購入いただけます>


平成29年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクション 記録集

岡山県天神山プラザ企画展「天プラ・セレクション」として2017年4月25日〜2018年4月1日の期間に開催された6人の各展覧会の個別の小冊子を合本し、1年間の記録集として発行したものです。


<目次>

  • 髙原洋一 展|反復:生成|天プラ・セレクションVol.77

  • 杉山恭平展|空想の世界|天プラ・セレクションVol.78

  • 金孝妍展|線ヲ思フ|天プラ・セレクションVol.79

  • 田丸稔展|叙事詩の男、こがねいろの月|天プラ・セレクションVol.80

  • 中本研之 陶展|派生|天プラ・セレクションVol.81

  • 千 足 展|オノマトペ|天プラ・セレクションVol.82


カラー52ページ

税込1,000円


※各展覧会の個別の小冊子も発行しています(カラー8ページ/税込200円)


お問い合せ

〒700-0814 岡山市北区天神町8-54岡山県天神山文化プラザ

TEL 086-226-5005

FAX 086-226-5008

メール tenplaza@o-bunren.jp

受付時間 9:00~18:00

休館日 月曜日、年末年始(12月28日~1月4日)

 

「天プラ・セレクション」シリーズは、岡山県ゆかりの作家を選抜し個展形式で紹介する、天神山文化プラザの企画展シリーズです。 開催作家の選考は、推薦と公募の2部門から行います。