有松啓介ガラス作品展|ガラスでしりとり遊び|天プラ・セレクションVol.75

更新日:7月7日




「しりとり」をガラスで表現するというアイデアは数年前から持っていました。

しかし実現するためには当然、いろいろなものを作るという覚悟と冒険心が必要です。

そのため普段の展示会ではなかなか実現できませんでした。

それを、今回の天神山文化プラザの個展で、とうとう「試みてみようか」という決心をしたわけです。


私が普段取り組んでいる「吹きガラス」という技法は、ガラスの器を作るのに有効なやり方と言えます。

そして、私が日頃ガラスを制作することにおいて心掛けていることは、美しくて、使いやすく、壊れにくいものを作るということ。それが良い仕事であると思っています。

しかし今回は、100種類ものガラスが「しりとり」で繋がっているという―おそらく誰もしたことがない展示に挑むわけです。

全体の7割くらいは初めて作るものになり、器よりもむしろ、オブジェが多くなりました。

結果、多少壊れやすくてもいいから、とにかく「しりとり」として面白い方を優先して制作してみました。

そんな冒険的な制作の中から、いくつもの発見がありました。

難しくも、楽しい有意義な制作の日々でした。


有松 啓介



Exhibition Review

有松啓介氏は好奇心、冒険心にあふれ、一方で釣りを楽しみ米や野菜も育てるガラス作家だ。

今回のユーモアあふれるテーマは「こんな表現もあったのか!」と正直、意表をつかれた。「しりとり」で繋がっていくアイデアあふれる作品の数々には、手慣れた技の進化や、新たに挑戦した難しい技も随所に隠されている。しかし、観る者にはそれを感じさせず、どんなものでも自在に生み出すことができるかのように思わせてしまう。「自己表現」を軽々と超え、完成形ではない自由な冒険やスリルを観る人とリアルタイムで共有しようとする「もてなし」のようにも感じられ、工藝の一要素であるエンターテイメント性を有松流に展開した会場構成になった。

これまでも自らテーマを決めて多くの個展に取り組み、おもに実用の器を中心に新しい意匠や技を発表しつづけてきた。1999年岡山市立オリエント美術館の企画展では古代の吹きガラス装飾突起碗(3〜4世紀)の超絶技巧も鮮やかに再現して見せた。

熔けたガラスは常に引力に支配されている。それに逆らい、従いながら最適な温度とタイミングを見極める作業の連続で作品は形作られていく。

一つのアイテムを組み立てマスターするには熟練を要することになる。

吹きガラス技法の習熟にとどまらず、自ら思い描くイメージの具現化に向けてサンドブラストやカット、エナメル絵付けなどさまざまな技法も臆さず取り込み、失敗を恐れずガラスとの対話を楽しんできた。

今回の101点のガラス作品には、自然に寄り添う作家の柔らかな思考と心意気、次へのステップが内包されているように思える。

「しりとり」はまだまだ続いていく。


天プラ・セレクション推薦委員/ガラス工芸家 松島 巌


岡山県天神山文化プラザ企画展 天プラ・セレクション Vol.75 有松啓介 ガラス作品展 ガラスでしりとり遊び

[会期]2017年3月21日〜26日 [入場無料]

[時間]10時〜18時(最終日は16時まで)

[会場]岡山県天神山文化プラザ・第4展示室


有松啓介 Keisuke Arimatsu

1959 岡山県生まれ

1982 武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科 卒業

1984 東京ガラス工芸研究所 卒業

1984 山谷ガラス工業(株)勤務[〜1987]

1987 瑠璃庵長崎工芸館 勤務[〜1989]

1989 岡山市東川原に『グラス・スタジオ透明館』を設立 独立

1999 古代ガラスの復元に取り組む

2006 倉敷芸術科学大学 造形学部 非常勤講師[〜2012]


現在 岡山市在住


個展

1988 初個展『長崎の風にのり』(画廊いちのつぼ/岡山)

2017 天プラ・セレクションvol.75「有松啓介ガラス作品展 ガラスでしりとり遊び」(岡山県天神山文化プラザ)


主な賞歴

1991 中国ガラスアート展 優秀賞 受賞

1995 酒の器創作展 優秀賞 受賞

1996 酒の器創作展 特別賞 受賞

1997 ビアマグランカイ '97 入選

1999 ビアマグランカイ '99 入選

2003 岡山県美術展 奨励賞 受賞

2006 岡山市文化奨励賞 受賞


有松啓介(グラス スタジオ 透明館) WEBサイト

https://toumeikan.wixsite.com/toumeikan


出品一覧

タイトル|素材/技法|制作年 ガラスでしりとり遊び|吹きガラス細工 / ガラス|2017

リンゴ|ゴリラ|ラッパ|パイナップル|ルビー|ビーダマ|マイク|クツ|ツリ|リス|スリッパ|パイプ|プレート|トウガラシ|シロクマ|マサカリ|リキュールグラス|スルメ|メガネ|ネジ|ジドウシャ|シャシンキ|キビダンゴ|ゴキログラム|ムササビ|ビーナス|スイカ|カラス|スズメ|メダマヤキ|キバ|バイキング|グイノミ|ミミズク|クラゲ|ゲタ|タイ|イス|ストロベリー|リール|ルービックキューブ|ブタ|タイコ|コバチ|チキュウ|キュウキュウバコ|コザラ|ランプ|プレゼント|トマト|トンボ|ボウシ|シカ|カモ|モモ|モクバ|バカ|カキ|キャンドル|ルーレット|トックリ|リクガメ|メダカ|カギ|ギョウザ|ザル|ルリコウ|ウクレレ|レコード|ドグウ|ウマ|マキダイ|イヌ|ヌンチャク|クラ|ランドセル|ルージュ|ジュージカ|カナリア|アンコウ|ウシ|シロナガスクジラ|ラジオ|オオカミ|ミンミンゼミ|ミイラ|ラッコ|コイノボリ|リュウ|ウラ|ラガーシャツ|ツルッパゲ|ゲンキ|キウイ|イモ|モザイク|クサリガマ|マスカット|トウフ|フジ|ジイサン


 

サイト訪問者からの連絡受付

事務局経由で受け付ける




 

本記事は、平成28年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクションVol.75 有松啓介ガラス作品展 記録集より抜粋しています。掲載内容は発行時点のものです。


発行:岡山県天神山文化プラザ

発行日:平成29年5月31日

印刷:株式会社 三浦印刷所

編集:福田淳子[岡山県天神山文化プラザ]

デザイン:鳥越眞生也[鳥越屋]

撮影:加賀雅俊[べあもん]

照明:池田正則[岡山県天神山文化プラザ]

 

<記録集をご希望の方は、天神山文化プラザ文化情報センターにてご購入いただけます>


平成28年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクション 記録集

岡山県天神山プラザ企画展「天プラ・セレクション」として2016年4月12日〜2017年4月2日の期間に開催された5人の各展覧会の個別の小冊子を合本し、1年間の記録集として発行したものです。


<目次>

  • 眞嶋 青 展|museum|天プラ・セレクションVol.72

  • 藤井 龍 展|For( Your/His/Her/My)Eyes Only|天プラ・セレクションVol.73

  • 妹尾 佑介 展|VIVID!|天プラ・セレクションVol.74

  • 有松啓介ガラス作品展|ガラスでしりとり遊び|天プラ・セレクションVol.75

  • 安中 仁美 展|ささやかな備忘録|天プラ・セレクションVol.76


カラー44ページ

税込1,000円


※各展覧会の個別の小冊子も発行しています(カラー8ページ/税込200円)


お問い合せ

〒700-0814 岡山市北区天神町8-54岡山県天神山文化プラザ

TEL 086-226-5005

FAX 086-226-5008

メール tenplaza@o-bunren.jp

受付時間 9:00~18:00

休館日 月曜日、年末年始(12月28日~1月4日)

 

「天プラ・セレクション」シリーズは、岡山県ゆかりの作家を選抜し個展形式で紹介する、天神山文化プラザの企画展シリーズです。 開催作家の選考は、推薦と公募の2部門から行います。