細見博子展|蝿女|天プラ・セレクションVol.69

更新日:7月7日




輪廻を、謳いたい。

リインカーネーション。

迷いを抜けて、また生と死がめぐる、まわり、まわり。


こたえは、どこに?

― 日々に。

朝と夜と朝と夜と朝と夜と…生活の中での、気づきの瞬間。

耳を澄ませば。澄ますことが出来たなら、色んなことを日々全身で感じることがきっと出来る。

その気づきが、ワタシの直感を呼び、その直感を信じるキモチが決断と行動を呼びおこしてゆく。

何度も何度も生まれ変わるなか、人はその無意識の中に経験を重ねてゆく。

その経験が違うからこそ、気づきも観点も人それぞれ。


― 気づく、ゆえに、我あり。


蝿女は、突進して来る。突進してきた蝿女が気づきを与え、

そうして見た夢の中の羊は、カタツムリで出来ていた。

ぐるぐる、ぐるぐる、螺旋カタツムリは、目が回る。

それを見ていた蜘蛛は、自らの糸で絡まり、自業自得でコンニチハ。


悪いことが起こる前は、よく処がぶつかって来る。

気のせいかもしれないけど、そんな気づきもワタシのひとつであるのだ。


― 気づく、ゆえに、我ある。


毎日の気づきを、表現出来たら…と願う、2015年の輪廻の中にて。


細見 博子



作ると見る


創作活動は「思う・作る・見る」の混ざったものだと思うが、自分の活動を見ること、批評する方法を持つことは難しい。細見さんにとっては、展示は制作活動の重要な部分である。このことで彼女に「作る視点」と「見る視点」の重なった創作スタイルを強めることになったように思う。


造形的にだけでは捉えられない空間は、誰も知らない微かなものの現れを捉えたいという期待に満ちている。表現形態を模索しながら作り続けるのはエネルギーを使う作業だが、見る側にはスリルと期待を感じさせる。作り込みの高い展示が演劇的な効果を高めて、小さな生き物たちの無言劇には優しい毒が混ざっている。


彼女の主要素材である金属もガラスも溶かして使われる。これは、変化していく素材の瞬間の表情をすくい取る作業であり、素材の自立性の強い工芸的な方法である。


展示は見る側の視点で作られるから作者に客観的な視点が生まれる。その「作る」と「見る」の視点の揺れが、仕上がりに向かう途中に見つかるものに意識を向ける。途中に見つかるものこそが目的であるような彼女の柔らかい制作姿勢が、見る側も参加したくなる共感を呼ぶのだろう。


細見さんは、表現が完結してしまうことの危険性を理解しながら冒険しているのだろうか。彼女の作品には、見る者に冒険を共感させる不思議さがある。慌ただしい時代に生きる私たちは、どこまでこの微かな気配を感じ取ることができたのだろうか。

天プラ・セレクション推薦委員

ガラス工芸家

松島 巌


岡山県天神山文化プラザ企画展 天プラ・セレクション Vol.69 細見博子展 蝿女

[会期]2015年12月2日(水)〜6日(日)

[会場]岡山県天神山文化プラザ 第3・4展示室


細見 博子

1967 大阪府生まれ


現在 岡山市在住


主な個展

1997 個展(gallery T.K.art/大阪・心斎橋)[2014まで毎年]

2003 個展(GALLERY JUNO/New York)

2004 個展(SAVOIR VIVRE / 東京・六本木) [2014まで開年]

2007 個展(Art Box SARASA/岡山) [2013まで毎年]、個展 (White Gallery/鹿児島)

2011 個展(ARTLAND/香川・丸亀市)

2012 「ワンダーランド」(瀬戸内市立美術館/岡山)

2013 「溶ける、固まる、溶ける、溶ける」(奈義町現代美術館/岡山)

2013 「"か"からはじまるモノガタリ」(軽井沢ニューアートミュージアム)

2013 個展(Gallery サンコア/岡山・玉野市) [2015まで隔年]

2014 「金鶏の春、瀬戸内の春」(香川・直島町 本村地区4か所)

2015 天ブラ・セレクションVol.69「細見博子展 蝿女」(岡山県天神山文化プラザ)


主なグループ展・イベント

2006 アートイベント「犬島時間」(岡山・大島) [2015まで毎年]

2011 有馬温泉路地裏アートプロジェクト (兵庫)、アートウォーク(広島・福山)

2011 アートの今・岡山2011「リズムのかたち」(天神山文化プラザ 他 /岡山)

2012 「はじまるアニマル展」(柄の津ミュージアム/広聴・柄の浦)


WORK

1998 カルティエ(全国10店舗)ウィンドウ夏期ディスプレイ企画制作

2005 ホテルモントレー(大阪) 照明企画制作

2012 バンブーヴィレッジ 室内照明、装飾(香川・直島)


細見 博子 WEBサイト

https://www.hirokohosomi.com/


出品一覧

タイトル|素材/技法/形状|サイズ(cm)|制作年 蝿女|錫合金、ガラス、銅|サイズ可変|2015

夢の中の羊|錫合金、ガラス、水晶|サイズ可変|2015

蜘蛛の糸|錫合金、ガラス、銅|サイズ可変|2015

溶ける、溶ける、固まる、溶ける、、、、。|錫合金、ガラス、銅、オニキス|サイズ可変|2013


 

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本記事は、平成27年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクションVol.69 細見博子展 記録集より抜粋しています。掲載内容は発行時点のものです。


発行:岡山県天神山文化プラザ

発行日:平成28年1月31日

印刷:株式会社 三浦印刷所

編集:福田淳子[岡山県天神山文化プラザ]

デザイン:鳥越眞生也[鳥越屋]

撮影:加賀雅俊[べあもん]

照明:池田正則[岡山県天神山文化プラザ]

 

<記録集をご希望の方は、天神山文化プラザ文化情報センターにてご購入いただけます>


平成27年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクション 記録集

岡山県天神山プラザ企画展「天プラ・セレクション」として2015年8月4日〜2016年2月7日の期間に開催された6人の各展覧会の個別の小冊子を合本し、1年間の記録集として発行したものです。


<目次>

  • カスパー・シュワーベ展|ars geometrica|天プラ・セレクションVol.66

  • 丸山智代展|私の秘密の住人たち|天プラ・セレクションVol.67

  • 吉行鮎子展|エモーションが止まらない|天プラ・セレクションVol.68

  • 細見博子展|蝿女|天プラ・セレクションVol.69

  • 山本哲也展|袖は襟で襟はなくないものはある|天プラ・セレクションVol.70

  • 島田悠美子展|増殖する記憶 ―目に見えない生命のかたち―|天プラ・セレクションVol.71


カラー52ページ

税込1,000円


※各展覧会の個別の小冊子も発行しています(カラー8ページ/税込200円)


お問い合せ

〒700-0814 岡山市北区天神町8-54岡山県天神山文化プラザ

TEL 086-226-5005

FAX 086-226-5008

メール tenplaza@o-bunren.jp

受付時間 9:00~18:00

休館日 月曜日、年末年始(12月28日~1月4日)

 

「天プラ・セレクション」シリーズは、岡山県ゆかりの作家を選抜し個展形式で紹介する、天神山文化プラザの企画展シリーズです。 開催作家の選考は、推薦と公募の2部門から行います。