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榎 真弓 展|それらのあいだにも。|天プラ・セレクションVol.57

更新日:4月16日



本日々の営みとしての作品たちを、

みなさまに見ていただく機会をもちました。


ただ散らばっている断片が、たまたまに一瞬かさなりあう。

それらのあいだにも、浮かんだり沈んだりしながら。

すぐにひとまとめにすると、わかったような気がするけれど、

溶けあうまで、そのまま待ってみる。


作品たちを会場に持ち込んだあとは、それらにゆだねました。

積みかさねを手ばなすやいなや、それらがうごく。

わたしはただ、その機をのがさないように、すっと措く。

さもないと、たちまちに消えていくので。


あるとき、わたしの並べた植木鉢がうごいていたとしても、

それはわたしがしたのか、あなたがそうしたのか、わからない。

自然なものも、作為のものも、無意識のものも、

おさまるべきところにおさまっている、庭のような作品。


そのようにありたいと願っています。

春がめぐり、その続きをまた問いはじめようと思います。


榎真弓



時の庭

展示作品の「かさなり」を意識すると、展示会場のさまざまなものが整然とかさなり、場を作っていることに気づく。四角い窓枠、中二階の前川建築によるデザインの壁、白いパンチングボード、そしてレールにかかったまま残された展示用フック。それは6日間という時間を互いに過ごすことを心地よく迎えている。高窓の外からの光さえもまた、青いグラデーションの調子となってそよいでいる。時間の移ろいがかさなる。

作品のひとつずつを見る以上に、連なる作品と作品、作品と見る側のそのかさなりを感じる。会場を歩くその足音も、空調の風も、そのかさなりとしてひとつひとつの時をかさねていく。ある断片がゆるやかにフェイド・インしてはフェイド・アウトし、またほかの断片とフェイド・インする。

私はその小さな空間から深遠な流れの中で十分に空を見、光を飲み込み、自然と呼吸する。そのもろもろの生を意識している。個々の作品は作品として場を変えることで、また別の人にその気配を伝えることとなるだろう。二つ、三つ、四つ、五つ、かさなりを編集する。それらのあいだが人の希望となり、光となる。


美術家/京都造形芸術大学教授/天プラ・セレクション推薦委員 東島毅


岡山県天神山文化プラザ企画展 天プラ・セレクション Vol.57 榎真弓展 それらのあいだにも。

[会期]2014年2月11日(火)〜2月16日(日)

[会場]岡山県天神山文化プラザ 第4展示室


榎 真弓

1960 広島県広島市生まれ

1983 岡山大学教育学部卒業

1990 Royal College of Art. Faculty of Fine Art, Printmaking Course修了


現在 岡山市在住


主な活動

1986 第6回現代版画コンクール展(大阪府立現代美術センター/大阪)

1987 第3回西武美術館版画大賞展(西武アートフォーラム/東京)

1995 第14回汎瀬戸内現代美術展 (岡山県立総合文化センター/岡山)

1998 フィリップモリスアートアワード 1998. ファイナルセレクション(東京国際フォーラム/東京)

2006 アートin福寿会館(福山市福寿会館/福山)

2009 浜口陽三生誕100年記念銅版画大賞展(ミュゼ浜口陽三ヤマサコレクション/東京)

2010 第11回岡山芸術文化賞準グランプリ

2013 Art Court Frontier 2013 #11(アートコートギャラリー/大阪)

2013 天プラ・セレクション vol.57「榎真弓展 それらのあいだにも。」(岡山県天神山文化プラザ/岡山)

その他個展グループ展多数

榎 真弓 WEBサイト

出品一覧

タイトル|技法/素材|サイズ(cm/縦×横×奥行き)|制作年 Pile Scale|ミクストメディア/木|106×6×3|2013

胚の直観Ⅱ|凹版画4色4版、フォトポリマーグラブール/紙|36 × 24(イメージサイズ)|2009

胚の直観 III|凹版画4色4版、フォトポリマーグラブール/紙|36 × 24(イメージサイズ)|2009

Seascape(besides)unframed ver.|凹版画4色4版、フォトポリマーグラブール/紙|20×18|2011

あなたになっているかもしれない。|ミクストメディア/段ボール箱、椅子|サイズ可変|2014

それらのあいだにも。|ミクストメディア/試験管、木、ゴム|35.5×15×9|2013

Untitled(Cheque)|ミクストメディア/紙箱、紙|9.5×21×4|1992-2014

Seascape(water surface)|ミクストメディア/段ボール紙、レズン、プリントした和紙|28×27|2013

Untitled(Water Mummy)|ガラス瓶、ウレタン樹脂、石、木炭|33.5×φ7|2013

Body Facts #3 ver.2|ミクストメディア/インクジェット、布、アクリルケース|61 ×51×8.5|2002-2014

Corpus-Gurdian|ミクストメディア/薄葉紙、オイル、木、虫ピン、コロ|35×37×22|2013

Corpus-19|ミクストメディア/薄葉紙、オイル、荷車|サイズ可変|2014

すべての生き物のために|凹版画4色4版、フォトポリマーグラブール/紙|76×57|2013

いぬが通ったあとの小さな風ver.1|凹版画4色4版、フォトポリマーグラブール/紙|76×57|2013

Coney Doe|凹版画3色3版、フォトポリマーグラブール/紙|76×57|2013

いちばんの他者|凹版画4色5版、フォトポリマーグラブール/紙|76×57|2009/2013

みかえる|凹版画3色3版、フォトポリマーグラブール/紙|76×57|2013

鹿の声 ver.2|凹版画3色3版、フォトポリマーグラブール/紙|76×57|2013

ダリア1607|凹版画4色4版、フォトポリマーグラブール/紙|76×57|2013

満てる。|凹版画1色1版、エッチング/紙|122×80.5|2008

未てる。|凹版画1色1版、エッチング/紙|122×80.5|2008

Water Mummy-N のしんぞう|ミクストメディア/合成樹脂、シャーレ|7×φ25|2013

Water Mummy-N のしんぞう #1|ミクストメディア/合成樹脂、シャーレ|7×φ25、4×φ16|2013

すべてと。なにもないこと。|コンクリートブロック、合成樹脂|70×39×19|2014

Untitled (dustpan & light)|ミクストメディア/トタン製チリトリ、蛍光灯|46×35×28|2014

Untitled (hardware #1|写真/Agfa 印画紙|20×12.5|1989

Black Piece|凸版画1色1版/フォトポリマーグラブール、紙|20.2×40.3|2011

Body Facts #1 ver.2|ミクストメディア/インクジェット、布、アクリルケース|30×180×15|2002-2014

 

サイト訪問者からの連絡受付

事務局経由で受け付ける




 

本記事は、平成25年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクション 記録集より抜粋しています。掲載内容は発行時点のものです。


発行日:平成26年3月31日

発行:岡山県天神山文化プラザ

編集:福田淳子(岡山県天神山文化プラザ)

デザイン:安藤一生(一生堂)

撮影:池田理寛(D-76)

会場照明:池田正則(岡山県天神山文化プラザ)

印刷:株式会社 三浦印刷所

 

<記録集をご希望の方は、天神山文化プラザ文化情報センターにてご購入いただけます>


平成25年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクション 記録集

岡山県天神山プラザ企画展「天プラ・セレクション」として2013年7月31日〜2014年3月30日の期間に開催された8人の個展の記録集として発行したものです。


<目次>

  • 北川太郎 彫刻展|天プラ・セレクションVol.51

  • 岡村勇佑展|空の青さと海の青さへ|天プラ・セレクションVol.52

  • 近藤真生 映像展|Butterfly.f|天プラ・セレクションVol.53

  • 山本誠展|実在と記憶|天プラ・セレクションVol.54

  • あだち幸 友禅画展|絹地に奏でるミクロコスモス―光曼荼羅|天プラ・セレクションVol.55

  • 中山秀一展|記憶のレイヤード|天プラ・セレクションVol.56

  • 榎真弓展|それらのあいだにも。|天プラ・セレクションVol.57

  • 鳥越眞生也 作品展|あにまるまにあ|天プラ・セレクションVol.58


カラー48ページ

税込1,000円


お問い合せ

〒700-0814 岡山市北区天神町8-54岡山県天神山文化プラザ

TEL 086-226-5005

FAX 086-226-5008

メール tenplaza@o-bunren.jp

受付時間 9:00~18:00

休館日 月曜日、年末年始(12月28日~1月4日)

 

「天プラ・セレクション」シリーズは、岡山県ゆかりの作家を選抜し個展形式で紹介する、天神山文化プラザの企画展シリーズです。 開催作家の選考は、推薦と公募の2部門から行います。

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