小林 泰子 展|時のない森|天プラ・セレクションVol.43

更新日:2 時間前



私の作品は葉や枝、石などの身近にある自然の断片に、染色した糸を隙間なく巻いたものです。それらを複数制作し、集合させて一つの作品にしています。そして制作、展示をする上ではいつも空間を意識しています。この展示会場の第一印象は天井の高さでした。見上げるような作品を展示することは今まであまりなかったので、高さを意識した空間をつくりたいと思い、今回の作品に至りました。

テーマは、時のない森。静かな夜の森に、月の光りが木々や葉を照らしているという幻想的な風景をイメージし、時を忘れていつまでも見ていただけるような空間を目指しました。

この個展では、展示の仕方や空間の使い方などにおいて今までの展示では得られなかった達成感や課題を見つけることが出来て、とても充実したものとなりました。そしてもっと違った空間をつくりたいという、次への可能性も感じていま す。ここで得た多くのことを生かして、今後も制作を続けていきたいと思います。


小林泰子



会場に一歩足を踏み入れるところから、物語は始まる。

そこは昼なのか夜なのか、時間の概念が存在しない。いま感じている時が、一瞬なのか永遠なのか…。木々の枝葉が緩やかに揺れている。深い森に迷い込んだようだ。ほのかな月あかりに照らされた枝々は、それらがここに存在し始めてから、無限の時間が過ぎようとしている。それは、あたかも光の糸でできていて、自らが淡い光を放っているかのようにも見える。導かれるままに歩みを進めると、僅かな気配を感じる。振り返るとそこには、同じ光の糸を織った冷たい月が、薄闇の低い空に佇んでいる。気がつけば音のない世界。静寂というには、とても言葉足りない静けさ。しかし、心配することはない。彼らは光で対話をしているのだから。それは、息づかいに呼応した僅かなきらめきの変化から読み取ることができるであろう。

この世界に身を置くと、現実世界の数多の情報の洪水に呑まれることもなく、感覚だけが研ぎすまされてゆく。自分の知覚が鋭敏になり、入力される刺激の量が拡大してゆくばかり。ただ、ここで得られる刺激は、自分にとってとても心地よいものだけなのである。

遠くで私たちを優しく見守っている、柔らかくあたたかな存在に気がつくであろう。彼らは、内に確固たる信念を秘めながら、表には微塵にも見せない、とても寛容な心を持っている。彼らの存在は、いまこの世界に必要不可欠となっている。存在そのものが、私たちを安心させるのである。穏やかな気持ちで、飽きることもなく同じ場所をひたすら歩き続けている。

気がつくと私は、そんな夢を見ていた。


天プラ・セレクション推薦委員/造形作家 南川茂樹


岡山県天神山文化プラザ企画展 天プラ・セレクション Vol.43 小林泰子展 時のない森

[会期]2012年1月10日(火)〜1月15日(日)

[会場]岡山県天神山文化プラザ 第4展示室【2F】


小林 泰子

1979 岡山県に生まれる

2004 岡山県立大学大学院デザイン学研究科工芸工業デザイン学専攻 テキスタイルデザイン学講座 修了


個展

2004 Natural Wall(旧出石小学校/岡山)

2006 garden(gallery feve/東京)

2007 空色 海色(cifa-cafe/岡山)

2007 MIU ART BOX vol.39(MIU ART BOX/玉野)

2008 薄色の庭(pieni.. ecole+cafe/岡山)

2009 空 -sora-(カフェZ/岡山)

2009 自然のかたち(津山市立図書館/津山)

2010 landscape(公文庫カフェ/岡山 ギャラリーそら/鳥取 巡回)

2010 out-line(cafe シファ/岡山)

2011 草花のある風景(宮筋文化堂/総社)

2011 森 -mori-(カフェZ/岡山)

2012 天プラセレクション vol.43「小林泰子展 - 時のない森」(天神山文化プラザ/岡山)


主なグループ展

2002 全国合同卒業制作展 てつそん2002(幕張メッセ/千葉)

2002 LOVE THE MATERIAL Ⅲ(Pepper's Loft Gallery/銀座)

2003 LOVE THE MATERIAL Ⅳ(Pepper's Gallery/銀座)

2004 美術夜話(CELL GALLERY/岡山)

2004 LOVE THE MATERIAL V(Pepper's Gallery/銀座)

2005 6人の手仕事(Gallery shiwory/倉敷)

2005 クリエーターズファイル vol.3(slogadh463/岡山)

2006 アートプログラム in 岡山市立市民病院(岡山市立市民病院/岡山 〜2007)

2006 アートの今・岡山 2006(天神山文化プラザ 高梁市歴史美術館 勝央町美術文学館/岡山 巡回)

2007 出石芸術百貨街 07(出石町周辺/岡山 〜2008)

2007 第4回犬島時間(犬島/岡山)

2007 木の実と葉っぱと石ころ展(粋更 表参道ヒルズ/東京)

2007 架空動物園2(ギャラリーサンコア/玉野)

2008 いろいろぐみ展(くらやアートホール/津山 〜2011)

2008 架空動物園3(海月文庫/大阪)

2009 青blue 展(勝央美術文学館/勝央町)

2009 夏のカケラ(Gallery shiwory/倉敷)

2009 架空動物園4(ギャラリー栂/和気町)

2010 「岡山県新進美術育成 I氏賞選考展」(岡山県天神山文化プラザ/岡山)

2010 ふくやま ART WALK 2010(福寿会館/福山)

2010 あかいわ ART RALLY2010(赤磐市加山地区/赤磐)

2011 和菓子 de ART 展(福山城湯殿/福山)

2011 TEXTILE PARTY(cafe シファ/岡山)


賞歴

2005 mina perhonen デザインアワード入選

2008 第14回真綿のヴィジュアルアート 会長賞


出品一覧

タイトル|素材/技法/形状|サイズ(cm/縦×横×奥行き)|制作年

静寂の森|もみじ、クスノキ、絹糸、植物染料|サイズ可変|2011

|クスノキ、絹糸、植物染料|120×120×3|2010

空の青|クスノキ、絹糸、植物染料|200×200×10|2009

空の葉 空の芽|クスノキ、枝、絹糸、スフ糸、直接染料、 植物染料、アクリルケース、桐額 他|サイズ可変|2011

colorful|石、スフ糸、直接染料|サイズ可変|2011


 

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本記事は、平成23年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクション 記録集より抜粋しています。掲載内容は発行時点のものです。


編集・発行:岡山県天神山文化プラザ

発行日:平成24年3月31日

撮影・デザイン:池田理寛

印刷:株式会社 三浦印刷所

 

<記録集をご希望の方は、天神山文化プラザ文化情報センターにてご購入いただけます>


平成23年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクション 記録集

岡山県天神山プラザ企画展「天プラ・セレクション」として2011年6月7日〜2012年3月4日の期間に開催された9人の個展の記録集として発行したものです。


<目次>

  • 役重 佳廣 展|天プラ・セレクションVol.37

  • 島村 敏明 展|Kontrapunkt ~対位法~|天プラ・セレクションVol.38

  • 佐藤 安 映像展|middle way|天プラ・セレクションVol.39

  • 石井 司 展|天プラ・セレクションVol.40

  • 高本 敦基 展|Note:日常性の現場から|天プラ・セレクションVol.41

  • 澤田 虚舟 遺墨展|天プラ・セレクションVol.42

  • 小林 泰子 展|時のない森 |天プラ・セレクションVol.43

  • 関野 倫宏 展|干支もの ETO-MONO 〜初春のお喜びを申し上げます。〜|天プラ・セレクションVol.44

  • 光井 威善 展|天プラ・セレクションVol.45


カラー33ページ

税込1,000円


お問い合せ

〒700-0814 岡山市北区天神町8-54岡山県天神山文化プラザ

TEL 086-226-5005

FAX 086-226-5008

メール tenplaza@o-bunren.jp

受付時間 9:00~18:00

休館日 月曜日、年末年始(12月28日~1月4日)

 

「天プラ・セレクション」シリーズは、岡山県ゆかりの作家を選抜し個展形式で紹介する、天神山文化プラザの企画展シリーズです。 開催作家の選考は、推薦と公募の2部門から行います。