役重 佳廣 展 |天プラ・セレクションVol.37



私の物造りの原点は、里山にあります。

里山は、自然と人間の営みの境界線にあり 自然の秩序と人間の習慣・文化を絶妙のバランスで共存させている。

そこには、それぞれの風土から生まれる形を見ることができます。

私の物造りの理想も それぞれの土地の記憶を留めた素材と自分の想いが互いに作用し合い、

必然性のある形を見つけだすことです。

今回の展示は無機質な広い空間で、この様な考え方を表現することの難しさを実感しましたが、次に繋がる経験をさせていただけたと思います。


役重佳廣



役重氏は自分の作品を工芸だと言う。工芸的意識の中で製作していると。用途を持った作品が多く、その位置づけを大切にしているようである。花器にしても茶碗にしても確かに使用可能だ。しかし、どうも工芸とは素直に受け取れない。シュールなオブジェがあるからということではない。茶入れや香炉が異形だからというわけでもない。たたずまいが違うのだ。見ていないときにはそれらがもそもそ動いているような、そんな妙なイロメキを感じてしまう。悪く言うと落ち着きが無い。子供がお茶席でそわそわしているようなやんちゃさというか。僕は彼の茶道具が好きで、茶席でよく使い、またお客様にも好評であるが、それは通常の茶道具とは違う空気感を作りだしているからではないかと思う。周りと協調しようなどとは微塵も思わず、唯我独尊と一人佇んでいる、そんな感じだろうか。

それは彫刻的である。

役重氏は場と場に産出する土を大切に、そこから自然に生まれてくる形を作っているのだと言う。たぶんに作為的であってもそこには彼なりの必然があることは汲み取れる。しかし私は、土に固執する必要があるのか?と思う。工芸である必要が彼にあるのか?

重ねて言うが彼の思考は彫刻的だ。もし工芸を表明するならもっとひたすら作るべきだ。自分を失うほどに。その先に本当に大地とつながる何かが潜んでいるのではないか。

もっともっと様々な彼の才能の形を見てみたいと思っているのは私だけではない。


天プラ・セレクション推薦委員/彫刻家よしもと正人


岡山県天神山文化プラザ企画展 天プラ・セレクション Vol.37 役重佳廣展

[会期]2011年6月7日(火)〜6月12日(日)

[会場]岡山県天神山文化プラザ 第3展示室


役重 佳廣

1963 岡山県生まれ

1985 多摩美術大学 彫刻科 卒業


個展

2002 ギャラリーさとう/岡山

2004 山麓ギャラリー/備前市

2007 遊美工房/倉敷市玉島

2008 工芸いま/東京都 銀座

2009 ギャラリーはしまや/倉敷

2010 青い鳥/香川県直島

2011 天プラ・セレクションvol.37「役重佳廣展」(岡山県天神山文化プラザ/岡山)


グループ展

2006 artbox サラサ/岡山市

2008 「岡山のクラフト展 2008」(岡山県天神山文化プラザ/岡山)

2008 サロン・ド・ヴァンホー/倉敷

2010 菓子百花(遊美工房/倉敷市玉島)

2011 「アート・プログラム in 鶴林寺」(鶴林寺/兵庫県加古川市)

2011 遊美工房・陶と書の出会い(遊美工房/倉敷市玉島)


出品一覧

タイトル|素材/技法/形状|サイズ(cm/縦×横×奥行き)|制作年

古い記憶の抜け殻|陶器、たこ糸、苔、セミの抜け殻|200×70×70|2007

深淵・1|陶器、ガラス|50×18×18|2008

深淵・2|陶器、ガラス|50×18×18|2011

遺伝子音|陶器|48×93×40|2007

竹根顔|陶器、竹根|123×20×9|2011

木根顔|陶器、木根|130×50×30|2011

流木顔|陶器、流木|145×43×25|1998

時の鳥籠|陶器、真鍮棒・蝶|50×35×35|2008

茶碗|陶器|7×13×13|2011

茶碗|陶器|8×14×12|2011

香炉|陶器|23×22×12|2007

香炉|陶器|24×20×20|2007

茶入れ|陶器|13×9×9|2011

茶入れ|陶器|16×8×8|2011

水差し|陶器|20×25×25|2004

水差し|陶器、竹根|25×25×21|2011

ポット|陶器|21×39×21|2007

三ツ足花入れ|陶器|26×37×24|2011

三ツ足花入れ|陶器|28×32×28|2011

三ツ足花入れ|陶器|25×25×20|2011

植物形花入れ|陶器|27×60×50|2009

台付き花入れ|陶器、木|53×23×20|2011

台付き花入れ|陶器、木|50×20×20|2011

台付き花入れ|陶器、石|45×20×20|2008

化石風花入れ|陶器|25×54×25|2007

変木足花入れ|陶器、南天木|20×45×35|2011

竹根足花入れ(中)|陶器、竹根|90×90×90|2011

竹根足花入れ(小)|陶器、竹根|80×80×60|2011

南天足花入れ(大)|陶器、南天木|160×90×90|2011

南天足花入れ(中)|陶器、南天木|130×70×70|2009

梅の木足花入れ|陶器、梅の木|105×70×50|2009

竹根足オブジェ|陶器、竹根|25×70×25|2011

竹根掛け花入れ|陶器、竹根|100×40×20|2011

掛け花入れ|陶器|30×12×10|2004


 

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本記事は、平成23年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクション 記録集より抜粋しています。掲載内容は発行時点のものです。


編集・発行:岡山県天神山文化プラザ

発行日:平成24年3月31日

撮影・デザイン:池田理寛

印刷:株式会社 三浦印刷所

 

<記録集をご希望の方は、天神山文化プラザ文化情報センターにてご購入いただけます>


平成23年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクション 記録集

岡山県天神山プラザ企画展「天プラ・セレクション」として2011年6月7日〜2012年3月4日の期間に開催された9人の個展の記録集として発行したものです。


<目次>

  • 役重 佳廣 展|天プラ・セレクションVol.37

  • 島村 敏明 展|Kontrapunkt ~対位法~|天プラ・セレクションVol.38

  • 佐藤 安 映像展|middle way|天プラ・セレクションVol.39

  • 石井 司 展|天プラ・セレクションVol.40

  • 高本 敦基 展|Note:日常性の現場から|天プラ・セレクションVol.41

  • 澤田 虚舟 遺墨展|天プラ・セレクションVol.42

  • 小林 泰子 展|時のない森 |天プラ・セレクションVol.43

  • 関野 倫宏 展|干支もの ETO-MONO 〜初春のお喜びを申し上げます。〜|天プラ・セレクションVol.44

  • 光井 威善 展|天プラ・セレクションVol.45


カラー33ページ

税込1,000円


お問い合せ

〒700-0814 岡山市北区天神町8-54岡山県天神山文化プラザ

TEL 086-226-5005

FAX 086-226-5008

メール tenplaza@o-bunren.jp

受付時間 9:00~18:00

休館日 月曜日、年末年始(12月28日~1月4日)

 

「天プラ・セレクション」シリーズは、岡山県ゆかりの作家を選抜し個展形式で紹介する、天神山文化プラザの企画展シリーズです。 開催作家の選考は、推薦と公募の2部門から行います。