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生誕100年記念 大館桂堂 遺墨展 |天プラ・セレクションVol.36

更新日:4月16日



大館桂堂の「散」の世界 ―だれにも親しまれる書と言葉―


岡山県文化賞他多くの賞をご受賞され、県下の書写書道教育の基盤を確固たるものに導かれた墨潮会会長の大館桂堂生誕百年を記念しての遺作展が、岡山県天神山文化プラザで開催されました。

後漢の蔡邕が述べたものとされる筆論に「書は散なり…」とある。

「散」とは「書こうと思うときには心の中のものを解き放ち、自分の性質や心情のままに心をのびのびとさせて、心に何のわだかまりもない状態にして書くべきである」ということを意味している。先生が「虚心」「虚心庵」と号されているのは、まさにこれである。

「無念無想・虚心坦懐」の境地になって、作品を書き上げようと努めておられることが、すべての展示作品から強烈に感じ取れるのである。

更に書かれた内容は借りものでなく先生ご自身の信念や体験から泉の如く湧き出た語句が多いのも、その特徴の一つではなかろうかと受け止めている。

今回の遺作展では岡山県知事石井正弘氏の玉文をはじめ、山陽新聞社、岡山日日新聞新社、RSK山陽放送からのご支援のもとに開催出来ましたことを心より感謝いたしております。

私共門弟は先生の開かれた境地に一歩でも近づくべく精進する覚悟であります。


大館桂堂遺墨展実行委員会



平成23年3月29日大館桂堂先生の遺墨展が、石井正弘岡山県知事、山陽新聞越宗孝昌社長、ご臨席のもとテープカットで開館、大館先生御一家とお慕いする大勢の御社中の皆々様のご参加で生誕百年の作品展が華やかにオープン、一年前から推薦委員に選ばれ、雲上の先生を御推挙させていただき光栄でございました。岡山県の書道文化教育面での書道の指針を示され題材に選ばれた歌詞からも伺え深い感銘を受けました。九十八才の御令室様もお元気で、先生と同じ笑顔で温かく接しておられました。多くの御作品からは、書とは何か?人と書は?と見る者に語りかけているようです。心の教育芸術を後に続く私共に問いかけているようで、心に残る後世に伝えるべき作品展でした。御一同様のご努力でこのようにたくさんの御作品が集まりました事大変だったと思います。やっぱり心のご指導が花開いたとお喜び申し上げ、大館先生に有難く御礼申し上げます。

森川星葉

(書道家/天神山文化プラザ企画委員/天プラ・セレクション推薦委員)


岡山県天神山文化プラザ企画展 天プラ・セレクション Vol.36 生誕100年記念 大館桂堂 遺墨展

[会期]2011年3月29日〜4月3日

[会場]岡山県天神山文化プラザ 第1展示室・第2展示室(小室)


大館桂堂

1911 岡山県真庭市蒜山(旧川上村郷原)に生まれる

1951 岡山大学岡山師範学校 教授

1968 岡山大学教育学部 助教授

1974 岡山大学教育学部 教授

1976 中国地区大学書道学会 会長

1977 岡山大学 退官

1977 紺綬褒章を受賞

1983 国際芸術文化章受賞

1986 岡山県・「岡山県文化賞」受賞

1989 山陽新聞社・「山陽新聞賞(文化功労)」受賞

1989 中華民国・「世界和平大賞」受賞

1991 中国新聞社・「中国文化賞」受賞

1995 岡山日日新聞社「芸術文化功労章」受賞

1997 岡山県・「三木記念賞」受賞

2008 4月29日逝去 享年98才

2011 天プラ・セレクションvol.36 生誕 100年記念大館桂堂 遺墨展(岡山県天神山文化プラザ/岡山)


書道研究「墨潮会」創立

岡山県習字教育研究会 創立

社団法人養和書道院 創立


著書

小・中学校書写習字教科書(筆者)

当用漢字の手引き

書道史読本(中国篇・日本篇)

一目でわかる書写指導の手引き

法帖精粋

楷書階梯(上)(下)

行書階梯(上)(下)

草書階梯

かな階梯

草書習字帖

桂堂色紙百選

等々


出品一覧

タイトル|形状|サイズ(cm/縦×横×奥行き)|制作年|所蔵先

椿壽|全紙 1/2 二曲屏風|150×150|2009|個人蔵

松樹千年翠|半切軸|195×45|2009|個人蔵

楊柳畫橋深淺水 桃花春岸往來船|半切軸|195×45|個人蔵

虚堂夜靜理冰絃 別隺驚啼月満天 一曲秋風少人聽 満庭黄葉自肅然 竹村莏逕映柴扉 地近江天客到稀 日暮柳邊吹笛過 只應隣艇賣魚歸|横額|55×215|1975|会館蔵

人不學則老而衰|半切軸|195×45|個人蔵

松下問童子 言師採藥去 只在此山中 雲深不知處|半切軸|200×46|1988|個人蔵

忍耐 仕事を支えるところの 一種の資本である|茶掛け|123×51|2001|個人蔵

觀笑盡娯|半切扁額|48×169|1991|個人蔵

有難や ああありがたや ありがたや|半切軸|197×46|2000|個人蔵

|額|140×57|1996|会館蔵

行必篤敬|全紙二曲屏風|173×170|1994|個人蔵

梅花帯雪飛琴上 柳色和煙酒中|半切軸|195×44|1992|個人蔵

生涯感謝|半切扁額|47×140|2001|個人蔵

月落不離天|大画仙額|242×61|1998|会館蔵

八月湖水平 涵虚混太清 氣蒸雲夢澤 波撼岳陽城 欲濟無舟楫 端居恥聖明 坐觀垂釣者 徒有羨魚情|大画仙額|122×90|会館蔵

松樹千年翠|半切軸|195×45|2001|個人蔵

畊雲釣月|半切扁額|56×157|個人蔵

彩鳳舞丹霄|半切軸|190×31|1976|個人蔵

生涯一刻者|大画仙額|262×67|1996|会館蔵

龢氣満堂|全紙1/2二曲屏風|155×122|1965|会館蔵

日月無私照|大画仙額|263×70|1993|会館蔵

和顔愛語|横扁額|48×175|1984|個人蔵

花開蝶自來|半切軸|197×49|1988|個人蔵

(扇面)山路きて 何やらゆかし すみれ草 (色紙)雲の峰 いくつくづれて 月のやま|衝立|47×122|個人蔵

幽雅|横扁額|44×100|1999|個人蔵

白鶴舞新天地|大画仙額|244×60|2001|会館蔵

蛙面水鹿角蜂|全紙六曲屏風|176×380|会館蔵

耕不盡|大画仙額|246×65|1994|会館蔵

壽山福海|半切扁額|48×176|1981|個人蔵

和顔愛語|衝立|105×45|個人蔵

徳有隣|扁額|43×109|1995|個人蔵

徳不孤必有隣|半切軸|197×49|1981|個人蔵

米のなる木をしらぬと言うた 娘可愛や岡山そだち 烏城聳えて旭川めぐる チョイト見せたいネ|全紙軸|197×100|1958|個人蔵

相送臨高臺 川原杳何極 日暮飛鳥還 行人去不息|ふすま|172×90|個人蔵

去国三巴遠 登楼萬里春 傷心江上客 不是故郷人|ふすま|172×90|個人蔵

宿昔青雲志 蹉跎白髪年 誰知明鏡裏 形影自相隣|ふすま|172×90|個人蔵

松下問童子 言師採藥去 只在此山中 雲深不知處|ふすま|172×90|個人蔵

白日依山盡 黄河入海流 欲窮千里目 更上一層樓|ふすま|172×90|個人蔵

牀前看月光 疑是地上霜 擧頭望山月 低頭思故郷|ふすま|172×90|個人蔵

故人西辞黄鶴樓 烟花三月下揚州 孤帆遠影碧空盡 惟見長江天際流|聨落軸|197×49|1964|個人蔵

不二ひとつ うずみのこして 若葉かな|半切軸|195×45|1976|個人蔵

寂然不動|茶掛け|127×57|1981|個人蔵

鷄號四隣起|半切軸|174×47|1995|個人蔵

昨日之非不可留 今日之是不可執|半切軸|195×45|個人蔵

龍鱗鳳翼|半切軸|180×50|個人蔵

楚寒餘春聽漸稀 斷猨今夕讓沾衣 雲理老樹空山裏 彷佛干聲一度飛|半切軸|197×49|個人蔵

松花伴鶴飛|半切軸|195×45|1988|個人蔵

詩到重吟始見功|半切軸|197×46|1974|個人蔵

薫風や 千山のみどり 寺一つ|扁額|64×129|1981|個人蔵

虎得風則威|半切軸|194×45|1984|個人蔵

念ずれば 花ひらく|半切軸|195×45|個人蔵

鶴舞千年松|半切軸|195×46|個人蔵

牀前看月光 疑是地上霜 擧頭望山月 低頭思故郷|半切軸|195×44|個人蔵

大象不遊兎徑|半切軸|192×44|1977|個人蔵

花意竹情|衝立|73×94|1985|個人蔵

一枝梅動己催春|半切軸|195×45|1992|個人蔵

龢樂|軸|147×45|1982|個人蔵

ころぶな 怒るな 風邪ひくな 老人養生訓|全紙1/2額|90×90|1995|会館蔵

吾道一以貫之|大画仙額|268×67|2001|会館蔵

白日依山盡 黄河入海流 欲窮千里目 更上一層楼|半切軸|197×46|1976|個人蔵

(扇面)あかあかと 日はつれなくも 秋のかぜ (色紙)春雨や くれなんとして 今日も有|衝立|46×122|2001|個人蔵

鬼手佛心|扁額|59×129|1981|個人蔵

楓葉經霜紅|茶掛け|104×49|1981|個人蔵

一輪明月照禪心|半切軸|197×49|1992|個人蔵

松静鶴留聲|大画仙額|262×67|2002|会館蔵

金鳳宿龍巣|半切軸|200×43|1976|個人蔵

山館長寂々 閑雲朝夕來 空庭復何有 落日照青苔|半切軸|195×45|個人蔵

竹有上下節|大画仙額|243×66|1994|会館蔵

百壽萬福|半切軸|195×45|1999|個人蔵

林静蛙声幽|半切軸|195×45|1988|個人蔵

蝶来時花開|大画仙額|258×67|1999|会館蔵

煙霞不遮梅香|半切軸|193×38|1981|個人蔵

梅一輪 いちりんほどの あたたかさ|茶掛け|130×54|1988|個人蔵

延年壽命長|半切軸|200×47|2001|個人蔵

幽遠|額|49×100|1999|個人蔵

樂哉無一事|半切軸|195×45|1981|個人蔵

努力する者は希望を語り 怠ける者は不平を語る|全紙扁額|82×147|個人蔵

壽至蓬莱不老仙|半切軸|195×45|1988|個人蔵

耕雲種月|半切軸|197×45|2001|個人蔵

烈しい嵐は 強い樹をつくる|軸|177×24|会館蔵

飛流直下三千尺|半切軸|195×45|1971|個人蔵

道は始めからあるのではない 一人歩き二人歩き 次第に多くの人が歩いて出来るものだ|小品額|42×54|個人蔵

昨日雨今日晴|半切軸|196×36|1977|個人蔵

人の一生は 重荷を負うて遠き道を行くがごとし 急ぐべからず|額|89×89|1997|会館蔵

来て見れば 森には森の 暑さかな|半切軸|198×44|個人蔵

一隅を照らす|半切軸|197×49|2001|個人蔵

人の一生は 重荷を負うて遠き道を行くが如し 急ぐべからず不自由を常とおもへば不足なし こころに望みおこらば 困窮したる時を思ひ出すべし…|半切軸|195×47|1974|個人蔵

鶯邊日暖如人語|大画仙額|162×47|2001|会館蔵

笑門來福|色紙|27.4×24.4|個人蔵

壽無涯|色紙|27.4×24.4|個人蔵

愚公移山|色紙|27.4×24.4|個人蔵

子供叱る来た道だもの 年寄笑うな行く道だもの|色紙|27.4×24.4|個人蔵

琴瑟相和|色紙|27.4×24.4|個人蔵

我が氣に入らぬ事が 我が為になる|色紙|27.4×24.4|個人蔵

心如鐡石|色紙|27.4×24.4|個人蔵

幽玄|色紙|27.4×24.4|個人蔵

鳳舞|色紙|27.4×24.4|個人蔵

さざなみの 立ちてうれしき 植田かな|色紙|27.4×24.4|個人蔵

禅堂の ぐるりを囲む わかき竹|色紙|27.4×24.4|個人蔵

寿山福海|色紙|27.4×24.4|個人蔵

江山清趣|色紙|27.4×24.4|個人蔵

比翼鳥|色紙|27.4×24.4|個人蔵

水滴穿石|色紙|27.4×24.4|個人蔵

水清無魚|色紙|27.4×24.4|個人蔵

徳川家康公遺訓|色紙|27.4×24.4|個人蔵

一怒一老一笑一少|色紙|27.4×24.4|個人蔵

たゆまざる 歩みこそよし 蝸牛|短冊|個人蔵

清神茗一杯|短冊|個人蔵

平安即是福|短冊|個人蔵

蜩の つとなきだしぬ 暦見る|短冊|個人蔵

盡在不言中|短冊|個人蔵

いさり火の 昔の光 ほの見えて あしやの里に とぶほたるかな|短冊|個人蔵

こころなき 身にもあはれは 知られけり しぎたつさはの 秋の夕ぐれ|短冊|個人蔵

くれてゆく 春のみなとは 知らねども 霞に落つる 宇治のしば舟|短冊|個人蔵

ながむれば 千々にもの思ふ 月にまた わが身ひとつの 嶺のまつ風|短冊|個人蔵

いり日さす 佐保の山邊の ははそ原 くもらぬ雨と 木の葉ふりつつ|短冊|個人蔵

み山には 松のゆきだに 消えなくに 都はのべの 若葉つみけり|短冊|個人蔵

箱根路を わが越えくれば 伊豆の海や おきの小島に 波のよるみゆ|短冊|個人蔵

青松不礙人来往|扇面|個人蔵

寂然不動|扇面|個人蔵

月天心 貧しき町を 通りけり|扇面|個人蔵

かさせみの 去来す硯 あらいけり|扇面|個人蔵

つゆすがる 庭の玉笹 うちなびき 一むらすぎぬ 夕立の空|扇面|個人蔵

桃栗三年柿八年 だるまは九年俺は一生|扇面|個人蔵

窓近き 竹の葉すさぶ 風の音に いとどみじかき うたたねのゆめ|扇面|個人蔵

嵐にも くずれぬ花の 美しさ|団扇|個人蔵

すずしさや 水に柳の 影法師|団扇|個人蔵

|団扇|個人蔵

|団扇|個人蔵

|団扇|個人蔵

|団扇|個人蔵

和 君子は和して同ぜず 小人は同じて和せず|72×133|社団法人 養和書道院蔵

あかるいふぞくようちえん はるですさくらや…(園歌)|60×144|岡山大学教育学部附属幼稚園 蔵

かおるみどりの操山 木立にはえるまなびやで…(校歌)|170×386|岡山大学教育学部附属小学校 蔵

はるかにつづく吉備の野の みどりが包む…(校歌)|84×162| 岡山市立大元小学校 蔵

のぼる朝日に輝きわたる 大岡山の真中をしめて…(校歌)|93×205|旧岡山市立出石小学校 蔵

大きな心 ひらけ 未来|89×165|旧岡山市立中央南小学校 蔵

規律 協同 友愛|75×132|旧岡山市立青年の家 蔵

和而不同|48×155|旧岡山市立青年の家 蔵

三光|40×30|三光正宗株式会社 蔵


 

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本記事は、平成22年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクション 記録集より抜粋しています。掲載内容は発行時点のものです。


編集・発行:岡山県天神山文化プラザ

撮影:青地大輔[ブルーワークスPHOTO&DESIGN Office]

発行日:平成23年3月31日

デザイン:ブルーワークスPHOTO&DESIGN Office

印刷:株式会社 みつ印刷

 

<記録集をご希望の方は、天神山文化プラザ文化情報センターにてご購入いただけます>


平成22年度 岡山県天神山プラザ企画展 天プラ・セレクション 記録集

岡山県天神山プラザ企画展「天プラ・セレクション」として2010年7月6日〜2011年4月3日の期間に開催された8人の個展の記録集として発行したものです。


<目次>

  • 青地 大輔 写真展|犬島時間|天プラ・セレクションVol.29

  • 平井 健三 展|匂い vol.1Wシリーズ|天プラ・セレクションVol.30

  • 柴田 れいこ 展|Sakura さくら|天プラ・セレクションVol.31

  • 加藤 直樹 陶展|ナオキショウDX|天プラ・セレクションVol.32

  • 甲田 千晴 展|廻生する森|天プラ・セレクションVol.33

  • 大月 理恵 展|dream garden|天プラ・セレクションVol.34

  • 池田 理寛 写真展|Afterimage|天プラ・セレクションVol.35

  • 生誕100年記念 大館桂堂 遺墨展|天プラ・セレクションVol.36


カラー30ページ

税込1,000円


お問い合せ

〒700-0814 岡山市北区天神町8-54岡山県天神山文化プラザ

TEL 086-226-5005

FAX 086-226-5008

メール tenplaza@o-bunren.jp

受付時間 9:00~18:00

休館日 月曜日、年末年始(12月28日~1月4日)

 

「天プラ・セレクション」シリーズは、岡山県ゆかりの作家を選抜し個展形式で紹介する、天神山文化プラザの企画展シリーズです。 開催作家の選考は、推薦と公募の2部門から行います。

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